starry☆sky | ナノ
「今日からマネージャーとして頑張ります。お願いします」
「「「「は」」」」
部員の声が重なった。
昨日すぐにわたしは陽日先生にこのことを頼みに行った。
せっかくこうして入部した弓道部。
犬飼くんのようないい人とも出会えて、もっともっと色んな人と仲良くなりたいと思った。
木ノ瀬くんとも。
「そうか…まぁ名字の考えがあっての事だろう」
「そうだね。名字さん、これからもマネージャーとしてよろしくね」
「ま、いいんじゃないですか」
「名前ちゃんと弓を引けなくなるのは残念だけど…でも一緒に部活はできるんだよね!」
「ご…ごめんなさい…でも、これから頑張ります!」
みんな凄く一生懸命に教えてくれていたから少し申し訳なかったけど…でもこれが私なりの頑張り方だから。
「それじゃ休憩にしよう」
「どうぞ、飲み物です!」
わたしは部員の皆に飲み物を差し出していく。
マネージャーになって数週間。
やっぱりこっちのほうが合っていると思う。
なんだかんだで、夜久さんとも少しづつ親しく話せるようになれたり。
ただ。
「夜久せんぱーい!今日の夜空いてます??」
「あ、梓くん!ごめんね。今日は生徒会で用事があって」
「そうですか…ちぇー、一緒に星をみようと思ったのに」
木ノ瀬くんとはなかなか話せないまま。
それに木ノ瀬くんも相変わらず夜久さんにべったりだし。
「(恋って…こんなに辛いんだ)」
「あ、そうだ」
犬飼くんの大きな声が休憩中の弓道場に響き渡る。
「木ノ瀬さー、名字と星みに行けばいいじゃん」
「え「わあ!いい考え!行っておいでよ名前ちゃん!」
「そうだね!最近名字さんは凄く頑張ってくれてるから、星をみてゆっくりするのもいいかもしれないね」
「な?いいだろ木ノ瀬?」
そこにいた全員が木ノ瀬くんを見る。
わたしはというとなんだか言葉が出ず、これから聞くであろう否定の言葉のショックを少しでも和らげようとぐるぐると身のないことを巡らせていた。
「別にいいですけど」
「…え?」
「じゃあ、名字先輩。部活終わったら屋上庭園で待っていてください」
木ノ瀬くんはとくに表情を変えることなくそう言って練習に戻っていった。