小説 | ナノ






反則







「アーレン!」



「名前。お帰りなさい」



「ただいま!それより見て!みたらし団子が1パック99円でした!」



「おー!素敵な価格!僕達貧乏学生には何と素晴らしー」



「素晴らしー」



「素晴らしー」






無類のみたらし団子好きなこの2人。



でも1パックのみたらし団子は3つで1本が3本。







まずお互い1本づつ。








「やっぱりおいしー」



「この世で一番素敵な食べ物ですね」



「そうだよねー」



「そうですよー」






「「あ」」








1本目を食べ終わり、もう1本と手を伸ばしたところでお互いの手がぶつかった。









残りはあと1本。










「ちょっと、アレン」



「何ですか、名前」



「は・な・し・て」



「名前こそ離して下さい」



「私が買ってきたの!」



「そんなの理不尽です!っていうか名前太りますよ」



「な、レディに向かって何てことを!私は太ってませんから」



「誰がレディですか。いやいや、最近お腹辺りがプニプニしてますよ。危険です。今流行りのメタボリックです」



「え!まじか!って騙されるか!出てないやーい!」



「…ちっ」



「つか私知ってんだからね!私が買っておいたみたらし、勝手に食べてるでしょ!知ってるんだぞ!白状しなっ」



「な!でもどこにも名前の名前が書いてありませんでした。食べられたくないのなら名前を書くべきです」



「なな!小学生か!」



「どっちがですか!」



「もーわかった…。じゃあ1個づつ食べて残りの1個は半分こでどう?」



「いいですね」



「でしょでしょ?」



「ズルなしですよ」



「アレンこそ」











そしてアレンが1つ目をぱくっ。







そして名前が…




「あーーーん!」



「あ!!!!」



「んーっ!おいひーっ」



「2個食べた!2個食べた!反則です!」



「うぁーか!」
(バーカ!)



「う…う…。このっ」






「…っ!?」





「んっ」





「…ん、あっ」





「っふ」





「…、は」








深いキスでアレンの舌が名前の口の中の2つの団子を絡めとり、自分の口に誘導して唇を離す。









「ご馳走様でした」



「バカアレンっ!」



「何で2つもとるのよ!」



「先に反則を犯したのは名前ですよ、それに」



「それに何よ!」



「美味しかったでしょ?名前も」


「う」








妖笑を浮かべるアレン。




それを見て一生アレンには敵わないと悟る名無しであった。















まぁ、2人とも美味しい想いをしたらいいじゃないか。



結果オーライ!


siori