Monochro Campus | ナノ


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「…で」

「まだ続くのか、この話」


星月先生が欠伸をしながら戻ってきた頃、不知火が座り直して話を続けた。いい加減私は疲れたんだが…


「名前が寝なかった理由はなんだ?」

「別に何もないし」

「俺には常に怠そうにしている名字が寝ない事が有り得ないと思ってたんだが」

「「………」」

「なんだその目は、お前ら2人揃って」


星月先生に怠そうとか言われたくない。実際間違ってないけど。
私は布団に横になり、知らんぷりをした。2人に話す必要がない。特に理由はない、課題がたくさんあるという一点張りを決め込む。
しかし、不知火はしつこかった。頭を布団から引き摺りだして話を聞けと言われた。なんで不知火に言う理由がある。思わず眉間に皺を寄せてしまった。
話せ、嫌だの押収はしばらく続く。一度聞くと決めたらとことん付き纏うというか、譲らないのが不知火の性格らしい。どんだけ横暴なんだ。仕舞には見兼ねた星月先生まで軽くでも話してやれって言いだす事態に。煩くて昼寝できないとかほざいたけど。こっちはこっちでマイペースだ。


「…めんどくさいな、この野郎。」

「女の子がそんな言葉遣いするんじゃない」


それは男女差別だそう言ったらそういう問題じゃないと片付けられた。


夢を見たくない

諦めて布団を被り、そう呟くと2人分の気の抜けた声が響いた。予想通りの反応だった。色々端折った言葉とはいえ、この反応は気分悪くて言ったことを後悔する。
しばらくすると不知火が吹き出す声が聞こえた。笑いを堪えているみたいだが、堪えきれてない。怖い夢でも見たのかと聞く声が震えている。


「何が可笑しいんだ」

「だって、おまっ…怖い夢で寝れなくなるって、子供か。ぶはっ、ははは…」

「このハゲ、死ね」


布団から足を出して蹴れば、不知火は当たった場所が悪かったのか痛そうな声を上げている。不知火はデリカシーが無いなと星月先生はため息を吐きながら足癖悪いと足を軽く叩いてきた。
誰も怖い夢だなんて言っていない。勝手に決め付けられるのは不快だ。

苛立ちが収まらないのでもう一発不知火を蹴っておくかと布団から再び足を出した時、校内放送のチャイムが鳴った。聞こえて来たのは低く穏やかな声と不知火の名前。げっ、と不知火は声を上げた。今の放送で思い出したが、こいつ生徒会長とか言ってた気がする。こんなのが生徒会長とか、生徒会のメンバーは大変だと思う。誰かは知らない生徒会の人に心の中で同情した。しばらくして、不知火は保健室に来た生徒会の人と思われる人に連れて行かれた。布団を被っていたので姿が見えなかったが、さっきの放送と同じ声だ。

賑わしかった奴が去ると保健室に静寂が訪れ、ため息を吐きながら星月先生がベッドに座る音が響いた。


「…で」

「更に続くのか、この話」


つかこの会話、デジャヴか?



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