Monochro Campus | ナノ


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半日授業を終えての感想は、至極面倒だ。私がここに来た理由は勉強するためじゃないのに、なんで訳の分からない授業を受けなきゃならないんだ。着いていけるのは国語や数学の一般的な科目のみ。取り敢えず高校の授業を既に終えている私には寧ろ楽なくらい。逆に専門科目はさっぱりだった。訳の分からない単語が飛びかい、さらに訳の分からない説明がされ、眠たくなるだけだ。
今も机にタオルを枕に突っ伏してうとうとしていた。窓際の暖かい席で眠気が一気に押し寄せてきた。


「おーい、名前。飯食わねぇと腹減るぞ」

「不知火黙れ」

「女の子がそんな言葉遣いするな。取り敢えず起きろ、何か腹に入れないと力が出ねぇだろ」



眠い私を無視して、不知火は腕を引いて無理矢理歩き出した。ここまで横暴だと呆れる。渋々足を動かして歩いた。

廊下は昼休みだからか沢山の人で溢れ返っていた。そしてその大半が私と不知火の方を見る。余程女が珍しいのか、お互いヒソヒソと話す。どんな内容であれ、私の顔を見て話されると不愉快だ。私は舌打ちをした。

着いたのは食堂。途中、使いそうな教室を説明されながら来たため、もうクラスへの帰り道はごちゃごちゃになり分からない。
人がごった返す食堂は廊下以上の視線が集まり、かなり不愉快だった。適当な席を陣取ると不知火はそこで待っていろと離れた。ここまで連れて来ておいて人を待たせるか。欠伸を噛み殺しながらその背中を見送った。取り敢えず睡眠が欲しい。


しばらくして帰ってきた不知火は手にお盆を2つ、そしてオマケを持っていた。そのオマケというのがレア物だと思う。この学園でなかなか見れない長い髪、高く可愛らしい声、人形のような顔立ち。


「一樹会長、この人ですか」

「あぁ、お前に続く2人目の女の子だ」


あぁ、この子がこの世界の主人公。名前は分からないけれど、見たことのある姿に私は釘付けになった。






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