14 この人は何を言っているんだ。思わず眉を寄せて睨んでしまったが、私は悪くない。ストールは私の反応に大して気にせず続けた。 「名字が学園に入ってもらう為にはどんな授業か知るのも必要だろう」 「は?なにその理屈」 「それに、星を学ぶ楽しさを感じてほしい。だから直獅を呼んだ。科は違っても、初めの基礎くらいは直獅も教えられるだろう」 「あぁ、そういう事か。よーし、それなら任せろ琥太郎先生!」 いやいや、何本人差し置いて話進めてるの。あまりに飛躍しすぎて着いていけない私をチビが引っ張り、汚い机の前に座らされた。まさかここでやるのか。ってかやるとも言っていないけど、これはどこで物を書けばいいんだ?そう思っていると、物の山を崩して退かしていくチビ。何とも扱いが雑だ。大量の物を退かしたが、出来たスペースはギリギリノートが置けるくらいだった。 持ってきた教科書を渡すとチビは名前を言っていなかったと思い出したように呟いた。彼は陽日直獅というらしい。直獅の漢字を聞いたら、素直の直に獅子の獅だと威張っていた。獅子ね、獅子…。どう見ても獅子という漢字に名前負けしているのは言わなかった。そして声が大きい。頭が痛くなる。 ストールは鳥の巣頭の体調を診ていた。そういえば彼はここで寝るのにこんなに煩くていいのか。 そうして始まった特別授業。まぁ内容は案外理解できるものだった。それが興味と繋がるかはまた別問題だけど。 「よーし、この章は取り敢えずここまでだが、どうだったか名字」 「先生の声が煩かったです」 「おい、授業の感想を言え、授業の」 これでもれっきとした授業の感想だ。時々煩い、七海が起きるとストールに注意を受けてたから、実際間違ってはいないと思う。 「小型犬はよく吠えるし、先生そのまんまだと思います」 「おい、誰がチビだって」 そこまでは言っていない。 そんな会話をしているとチャイムが鳴った。これが授業の終わりのチャイムか知らないが、チビが立ち上がった。 「じゃあ俺、次の授業入ってるから行くわ」 「ありがとな、直獅」 「おう!それじゃ、名字が入って来るの楽しみにしてるからな」 チビは保健室を出る間際にそう言って出ていった。…誰も入るだなんて言ってないし。そう思っていると、肩に手を置かれた。何なんだ、ストールまで。何を期待してるんだ、みんな。あの銀髪も、チビも、ストールも。 私は学校行く必要無い。昨日あれだけ思った事なのに、今一瞬迷ってしまった。 ← |