Monochro Campus | ナノ


13


「誰だ、お前」


それはこっちが聞きたい。


保健室に連れてこられた私は足の治療をされて放置されていた。ここに連れてきた張本人は、人を呼んでくるとどこかへ行ってしまった。そしてその間にやってきたのがこの顔が真っ青な人。出来上がったこの状況はこのような段階があったのだ。
この学園で2人目の銀髪もまた見覚えがあった。ということは、また彼も登場人物の1人ということだ。それにしても、えらく具合が悪そうだ。だからと言って何もしてやらないが。


「…っつ、は。誰でもいいか。取り敢えず星月先生は」

「さぁ、どっか行った」

「また居ないのかよ…はぁ」


胸の辺りを押さえながらフラフラとベッドに辿り着くと苦しそうに横になった。確か何か病気持ちだったか?曖昧な記憶を探る、がすぐに面倒になった。


「わ…り、水汲んでくれねえか?」

「は?なんで名前も知らない奴に命令されなきゃならないの」

「間違ってないが、ムカつくなお前」


誰が人に言われて動くか。ボサボサ頭は苦しそうながらしっかりしたツッコミで返してきた。
めんどくさ。水を適当なコップに汲んで差し出せば、ボサボサ頭はサンキュと呟き、それを薬と一緒に体内に流し込んだ。
どうやらこれで落ち着いたようだ。


「ありがと、助かったぜ」

「ねぇ、そのボサボサ頭とか銀髪って流行ってんの?もう1人見かけてるんだけど」

「ボサボサ頭じゃねぇし!セットしてんだ」

「じゃあ鳥の巣」

「鳥の巣でもねぇ!これはオサレヘアーだ!!」


今時わざわざオサレとか言う奴も珍しいと思う。この鳥の巣頭は余程こだわりがあるらしい。アホらし…。

一通り会話してしまうと話題が無い。沈黙が流れた。その空気を断ち切ったのは、保健室のドアが開かれる音だった。


「俺でいいのか?」

「今暇そうなのがお前しかいなかったからな」

「暇ってなんだよ。俺だってそれなりには忙しいんだぞ。次はあいつらと何して遊ぶか考えたり、みんなでどこ走るか調べたり…」

「直獅…お前本当にそんなことしているのか?」


入ってきたのはストールと、昨日のチビだった。人を呼んでくるって、このチビの事か。そう思っていると、チビがストールとの会話を止めてこっちを見る。視線は私…ではなく、私の前にいる鳥の巣頭だった。
チビが飛び付くように鳥の巣頭に駆け寄ると、肩を揺さぶり大丈夫かと連呼した。いや、お前の揺さぶりが大丈夫かと言いたい。実際、揺さ振られた鳥の巣頭はまた青い顔色になっていた。
なんだ、この人達と思っているとストールに名前を呼ばれた。


「名字」

「何だよ」

「今からお前に授業を受けてもらう。」



……………は?





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