Monochro Campus | ナノ


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コンコンコン

響くノックの音で目を覚ました。どうやら寝ていたらしい。目が覚めても変わらない現実に舌打ちをした。

コンコンコン

まだ響くノック。しつこい、居留守を決めてやる。
ベッドに寝転がったまま、鞄を引き寄せる。中のポーチから飴を取り出し、袋を破ると口に放り込む。カラカラと歯に当たる飴が甘い。ブドウ味…気分的にはラムネが良かった。

コンコンコン

まだ鳴るノック。なかなか相手もしつこい。
ついでに携帯を鞄から出す。開いたディスプレイの左上には圏外の文字。開いたファイルに収められた沢山のプリクラと写真。もっと撮っておけばと良かったと本気で後悔した。

コンコンコン

粘るノック。あぁもう、誰なんだ。さっさと帰れ。


「名字?居留守してないでさっさと出て来い。」


今度は声も響く。これは…


「なんだよ、ストール。しつこいんだけど」

「お前が無視するからだろう。それと星月先生だろ?」


仕方なく起き上がり、首に緩く巻かれたストールが目に入る。これ、締めてやろうかという考えがちょっと過った。

何の用か聞いたら、差し出された紙袋。中身を開いたら綺麗に畳まれた服。ブレザーとスカーフが入っている辺りから制服だと思う。
なにこれ、私まだこの学園に入るだなんて言ってないのに。そしたらもしお前が入ると決めたら必要だろうと笑うストール。なんでそんな分かった口振り…。


「明日暇なんだろう?どんな所か見に来いよ。それで決めるのも悪くないんじゃないか?」


なんでそんな必要があるんだ。こんな世界で学校に行って勉強する必要性を感じない。私は行く気はさらさら無かった。

ストールはそれと…と言葉を続け、もう1つ袋を出した。次は白いレジ袋。中にはパンやおにぎりが入っていた。


「夕飯だ。本当は食堂で食べるんだが、流石に編入前は行けないだろう?男ならともかく、女なら尚更」

「別にいらないのに」

「駄目だ、ちゃんと食べろ。倒れるぞ」


最後に絶対食べろよ、と念を押した後、ストールは帰って行った。
貰った2つの袋を眺める。正直、どちらもいらない。学校に通う理由も、物を食べて生命を繋ぐ意味も、今の私には分からなかった。ベッドに2つの袋を放る。時間を確認すると確かに夕飯時だった。でも不思議とお腹は空いてなかった。代わりにイライラが溜りに溜まっていた。
夕飯を食べる代わりに、イライラを流しにシャワーを浴びることにした。





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