きっと夏のせい

「わざわざこんなの寄越さなくても、普通に泊まりにこいって言やぁいいだろ」

予告状、というか暗号で書かれた招待状で俺を呼び出した怪盗は、目の前で情けなく眉を下げた。

「断られたらさすがに立ち直れないなぁと」
思ってさ。

「何で俺が断ること前提なんだ」

あんまりありえないって、決め付けられんのも腹立つんだが。

快斗が、信じられないことを聞いた、というように目を瞠る。

「…何か企んでない?隠し事とかしてない?」
「バーロ」

不安げに言い募る男へ告げる。

「誕生日くらい優しくするさ」
恋人、だからな。

何気なく言おうと思うのに顔が火照った。

夜になっても気温が下がらない。何で今日に限ってこんなに暑いのだろう。

全てを近付く夏のせいにして。

「ぉわっ!?」

思い切りネクタイを引っ張って、体勢を崩した快斗の。

「…おめでとう」

唇に触れる。


それから感じた体温は、おんなじくらい高かった。



END

「伝えたかったこと」と同じような状況設定。二人がくっついてるの前提だとこうなる。かも。
2010.6.21


 
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