そんな仮定は意味がない

「コナンはさ、もしも俺が突然死んだらどうする?」

「は?」

 質の悪いこと聞くなよと顔をしかめる。

 学校帰りに捕まって、快斗の家に連れてこられた。それはもう毎度のことだから文句を言うつもりなんてないが。
 いきなりこんな質問をされては、不機嫌になっても仕方ないと思う。

「だから、もしもだって。どうする?」

「…とりあえず死因を調べて、他殺だったら犯人を捕まえる」

 淡々と答えると、快斗ががっかりしたように眉を下げた。

「それだけ?」

「あぁ。何か問題あるか?」

「いや、ないけどさぁ」
 でももうちょっと、なんか、こう…

 ぶつぶつ言っている快斗を横目に見て尋ね返す。

「じゃあ俺が死んだらおまえは何してくれんだ?」

「もちろん後追うよ」

 即答されて、頭痛を覚えた。

「絶対いらねぇ」

「なんで?!最大級の愛なのにっ!」

「そんな愛は欲しくねぇよ」

「…コナンちゃんひどい…」

 快斗が泣き真似をしながら部屋の外に消えたことを確認して、ひどいのはどっちだと独りごちる。
 明日はKIDの予告日だというのに、どうして今そんな質問を投げかけるのか。
 不安で胸がざわめくようで。

「明日の現場、顔出しとくか」

 ため息をつきながら零した。
 真夜中抜け出すの大変なんだぞと、ここにはいない部屋の主に当たる。

 もしも、なんてまともに考えられないくらいおまえが大事なんだって、ちゃんと分かってるんだろうか、あのバカは。



END

朝目が覚めたら、冒頭の快斗の台詞が浮かんできた。どんな夢見てたんだ、私。
2010.2.24


 
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