衣替え

少しずつ朝夕の冷え込みが厳しくなり、冬の気配をつれてきていた。

いつもより早い時間に寝室で人の気配を感じたので一旦朝餉の準備を置いて部屋に戻ってみると寝巻きに羽織姿の小五郎さんが仕度を始めていた。

「小五郎さん?」

「あぁ、蘇芳か」

「いつもより早い時間ですね。どうされたんですか?」

「ああ、今日は準備に手間取りそうだと思って」

「そうなんですか?」

「今日から礼装を洋装にすると政府から発表があるからね、それにあわせて先日準備をした礼服で今日は出なければいけないんだ」

「あ、こないだ届いたお洋服ですか?」

「ああ、いつもよりやっかいだろ?」

先日届いた礼服は沢山のボタンのシャツに袴(こ)とジャケット、剣緒や飾章、そして更につけなければいけないだろう勲章類・・・。

「確かにそうですね」

私が微笑むと小五郎さんは苦笑いをした。

「君とは逆だね。」

「え?」

「蘇芳は洋装の方がもともと馴染みがあるだろう?今はこんなにきれいに着物が切れるようになったけど」

すっと小五郎さんが私の襟を触れてくれる。

「昔は毎日最初から手直ししたいくらいだったのにね」

襟にあった手がゆっくりと私の頬を撫でると凄く近くで小五郎さんを感じ、次の瞬間ぎゅっとぬくもりに包まれた。

「後で着替えを手伝ってくれないか」

「後で?」

「そう、後で」

「早く用意しなきゃいけないんじゃないんですか?」

「でもまだ早いし、蘇芳がちゃんと手伝ってくれれば大丈夫…だと思うんだけど?」

「…はい」




***

今日が明治政府が礼装を和服から洋服に制定したとTVで見て、思い立って書いたSS
桂さんは手間取る姿を見せたりしないようなw
こっそり練習派w

あ、礼装に白手袋は必須です!

20121112 蘇芳

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