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Q.どうして追われているのか?
次の選択肢1〜3から選べ。

1.からかわれている
2.嫌われている
3.特に意味はない


Question



「ちょ、なんで追いかけてくるのー?!」
「逃げっからだって!」
「はあ?…あ、花井くん!たすけて!」
「あー!花井ずりー!」


花井くんの胸に飛び込むようにダイブすると、花井くんは「うおっ!」と声をあげて私を支えてくれた。隣で水谷くんは「またやってんのー?」と呑気に笑っている。好きでこんな状況な訳ではない。とても不本意だ。



「お前らまたやってんのか!田島いい加減にしてやれよ」
「だって逃げんだもん!」
「だって追いかけてくるんだもん!」
「…ハモったねえ」



なんで部活以外でも世話してやんなきゃならないんだ、とばかりに花井くんが田島くんを呆れた顔で見ているけど、花井くんは私にとって最後の砦的存在なので是非ともこのまま世話焼きの性格でいてほしい。よろしくお願いします。
ところでなんで私が田島くんに追われているのかといえばその原因は、これはあくまで私の推測に過ぎないけれど、野球部が桐青と戦った試合にある。
私は大して野球に興味があるわけではなかったけれど、応援団長の浜田くんがクラスのみんなに是非応援しにきてほしいというので、また友人が実は泉くんのことが好きなので応援しに行きたいために私に付き合うようにいうので、特に断る理由が見つからずについていったのだ。
その試合で田島くんは4番だった。野球の知識がほとんど無い私でも、4番というのはつまりエース的な存在なのだろうとわかったので、ただぼうっと、すごいなあと思って眺めていたのだ。田島くんは同じクラスでよく目立つ子だったけれど、私はそれまであまり話したことがなかったので、元気な野球部員で、そしてあまり頭はよろしくないという印象しかなかったのだった。
けれど私はその日見てしまったのだ。バットを握りしめて真剣な顔をした、彼のことを。途端に私は顔が熱くなるのがわかった。雨が降っていたので頬に当たる雨粒が冷たくて気持ちいいと思ったのを良く覚えている。
さて、問題はここからだ。優勝候補である桐青に勝利した野球部はもちろん学校中のヒーローなのだけれど、その中で4番をやっていた田島くんといえば、ヒーロー中のヒーローなのだから、彼の周りにはきゃあきゃあと黄色い声をあげる女の子がたくさん集まってきていて、格好よかったよ、と口々に言うのだった。私はそれを見て、顔をしかめたのだけれど、それは私には面と向かって「格好よかった!」などと言えるような勇気がなかったので、ただ単に嫉妬しているだけなのだった。そんな自分が情けなかったので、私はもっと顔をしかめたのだけれど、「だいじょぶかよー?」という声で、はっとして、恥ずかしくなって怖くなって、私はそこから逃げ出した。
声をかけてきたのはもちろん田島くんで、それが追いかけっこの起源なのだ。




and




「なー!なんでいつも逃げんだよ?」
「なんでって…だから追いかけてくるから」
「だって逃げるから追いかけてんじゃん!逃げなきゃおいかけねーよ?」
「田島くんは、私に何か用があるの?」
「特に無い!」
「じゃあなんでそんなに追いかけてくるの…」


どっと疲れてしまって私はふう、と息をはいた。花井くんを間に挟みながら田島くんと対峙しているけれど、気が気じゃないのだ。田島くんが目の前にいるというだけで、眩しくてめまいを起こしそうで、とんでもなく怖い。
田島くんはキラキラしすぎて、すごく 怖い。


「なんだよー用が無きゃ話しかけちゃだめなのかよ!」
「そうじゃないけど…花井くんたすけて」
「何でもかんでも人に頼るのはよくないぞ」
「じゃあ水谷くんたすけて」
「あはーオレには無理かなー」
「うん、なんとなくわかってた…」
「だってさあ!花井とか水谷とかとは普通にしゃべんのになんで俺はだめなの?」
「だめなんてゆってないじゃん…!」
「逃げるってのはそうゆってんのと同じじゃねーの?」



「ねえなんで?」と徐々に私に迫る田島くんをよそに、花井くんと水谷くんは「阿部が待ってっから!」「阿部におこられるのやだからいくねー!」と言って消えてしまった。なんて薄情な奴ら!豆腐の角に頭ぶつけろ!馬に蹴られろ!ばかばか!



「……」
「田島くん、もう教室もどろっか…?」
「……」
「おーい?」
「……」
「田島くん?」
「…俺のこと嫌いなの?」
「え!?なんで」
「だって…逃げんじゃん」
「それは、」
「なに」
「………」
「お前が俺のこと嫌いでも俺は追っかけるよ」
「へ?」

「だって俺は好きだもん」



「捕まえた」
そう言って手首をぎりぎり音がするんじゃないかってくらいにつかんで、私をじっと見るので、私は体が途端に熱くなって、それから血の気が引くように寒くなって、忙しかった。野球をしている時のような真剣な目で私を見るので、 死にそうだ と 思った。



「え?ちょ、なんで泣くんだよ?」
「え!な、泣いてない!」
「うそつけー涙たれてんじゃん!」
「だって」
「だって?」
「こわい…」
「オレ?え、オレのせい?」
「だって田島くんキラキラしてるから隣に並ぶの怖いし、キラキラ眩しくてドキドキしちゃうし私死にそうだよ」
「えーなにそれ!もしかして、」


「…私のほうがきっとずっと前から好きだよ」




Answer



Q.どうして追われているのか?
次の選択肢1〜3から選べ。

1.からかわれている
2.嫌われている
3.特に意味はない


A.隠れ4番


「オレのほうがずーっと前から好きだから!」
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