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ねこねこねこ こねこねこねこ
ねこねここねこねこ。

ふわふわとことこ
ぴょんぴょんしゅたん。

ひなたぼっこをしていたい
次に生まれてくるのなら、

神様必ず、私を猫にして。







な り た い も の な あ に ?






「水谷フミキ主催席替え大かぁーい!」

ドンドンパフパフー!
騒がしい音を立てて水谷君は言う。
昼休みの教室で、急に席替えは始まった。いや、もしかしたら急ではなく、事前に連絡されていたのかもしれない。教室にはクラスほとんどの人が珍しく残っていた。
「水谷うぜー」誰かがそう言ったのを皮きりに、「なんで水谷が仕切ってんの?」や、「はやくしろよ、つうか水谷邪魔なんだけど」といった辛辣な言葉が聞こえる。そういう方法で、人間は戯れあっているのだ。

「阿部早くクジ引けよー」
「俺は最後でいい」
「千代どこだったー?」
「うわっ、真ん中の一番前だよ」
「あ、じゃあ私千代の後ろだ」
「えっ、俺しのーかの隣じゃん」
「ほんとに?よろしくね」

私はそっと教室を出る。
「だから阿部早く引けってえ」水谷君が言う声がする。阿部君が「今誰か出て行ったろ」と言うのが聞こえて、逃げるように廊下を駆け抜けた。

「…席、隣。」

次に教室に行った時、仏頂面の阿部君が以前とは違う窓際から2番目の最後部席に座りながら、その隣の空席を指差して言うので、私はただ「有難う」と呟いた。
そういえばと思い出して、飲み忘れていた服用中の錠剤と水を鞄から取り出す。
白い袋の中にはケース一束の錠剤が何粒かと、それから「服用上の注意」と銘打たれた紙が、一枚。


1.朝昼晩の1日3回、食後に服用してください
2.効果は約8時間続きます(ただし条件によっては効果を失います)
3.水と牛乳以外(茶類、清涼飲料水等)での服用はおやめください
4.包装ケースごと口に含まないようご注意ください
5.用法容量を守って正しく服用してください


「……どっか悪いの?」
「え。」
「薬飲んでっからさ」
「あーいや、これ何の薬だっけ… なんか、とりあえず飲まなきゃいけないみたい」
「ふうん」
「……」
「まあ、お大事に」
「あ、ありが、とう。」

急に阿部君に話しかけられてびっくりする。何だか気まずい雰囲気が流れていたたまれなくなってきたので、机に伏せてお昼寝の体制に入ろうかと考えていると、「あのさ」と話かけられる。

「にゃ、にゃに?」
「…猫?」
「噛みました…」
「猫、好きなの?」
「へ…う、うん。でもなんで?」
「中庭の奥の猫によく餌やってんじゃん」
「え…ば、ばれて…?!」
「いや、きっと俺くらいしか知らないよ」

「俺も、前に牛乳やったことあるし」
阿部君は猫好きなのだろうか。だとしたら阿部君はいいひとだ。何故なら猫好きに悪いひとはいないと、そう決まっているから。

「阿部君、是非内緒にして欲しいのですが」
「…いいけど」
「ほんとに?よかった」
「そんでちょっと聞きたいんだけどさ」
「うん?」
「今シマと黒いのの2匹しかいないみたいだけど、前に白い猫いたろ?」
「白い猫?」
「あー…知らねえか」
「私が餌をあげてるのは2匹だけだけど」
「…そっか」
「ってことは阿部君、あの猫ちゃん達のこと大分前から知ってるってこと?」


やっぱり、阿部君は猫好きに違いなかった。私はなんだか嬉しくなって、そうして良いアイディアを思いつく。
提案してみよう、そう思ってひとつごくりと唾をのんだ。


「じゃあ、よかったら阿部君も行こうよ」
「どこに?」
「え、餌やりに」
「あー…」
「明日の昼休みとか」
「ああ、うん」
「かわいいよ、猫ちゃんたち」


「ね?」そう同意を求めると、阿部君はうなずいてくれた。
翌日の昼休みになって、私は牛乳と、すこしの餌をもって中庭の隅へと歩いていく。もちろん、阿部君も一緒だ。


「くーろー!ぶーちー!」
「…白いのはいねえな」
「うん、そうみたいだね。くろとぶちは知らないかにゃあ?」
「ニ゛ャー」
「…なんて言ってんの?」
「わかんない、猫語なんて使えないもん」
「そりゃそうだ」
「しろちゃんどこにいったのかなあ…って、くろ舐めないで!くすぐったい!」
「……なんか、」
「うん?」
「お前が猫みたいだな」
「ええ?」
「色白いし、白猫って感じ。」


阿部君がくろの頭を撫でながら、そう言って笑った。心臓がどくどくなって、ウルサイ。恥ずかしくなって、ぎゅっと猫たちを抱きしめる。

「ほんとに?…うれしい」
「なんで?」
「私は、猫になりたい」
「はあ?」
「ずっとお昼寝してるの」
「ああ…」
「阿部君は無い?猫になりたいと思ったこと」
「…まあ、気楽そうでいいなとは思うけど」
「猫も私みたいに、人間になりたいとかって思うのかな」
「さあ?それは…」
「それは?」
「…猫にでも聞いてみれば?」
「阿部君って結構冗談とか言うんだね」
「……」



「あは、ありがとね」
そう言うと阿部君が「何が?」と聞き返すので、私は「着いてきてくれたりとか、色々。」そう答える。予鈴が鳴り響いて、どちらともなく、校舎へと歩き出す。
途中、阿部君が振り返って、私の名前を呼んで、それから首を傾げてから今度は私と目を合わせて、それから私を抱き上げる。何事かと思うと、そのまま教室へと運ばれた。抗議の声をあげようとすると、「急ぐから静かにしてろよ」と注意されたので、私は黙りこくった。

6限までの授業と帰りのホームルームが終了して、私はあくびをひとつ。それから伸びをして、その後に阿部君を見つめる。ふと目が合うと、「静かだったな」と言われる。私は元々、割と静かなほうなのに。


「オイ水谷」
「んー?なにあべー」
「ここの、俺の隣の席の奴ってさあ」
「え、何?そこ空席じゃん。」
「はあ?空席?」
「てかあーっ!なにこの白猫!かっわいー花井、はないー見て見て猫!」
「空席…?」
「はあ?なんだよ水谷…って、猫じゃん」
「なにこの猫、入ってきちゃったの?」


「ヨシヨシ」
そう言いながら水谷君が私の頭上へ手を伸ばしてくる。わしゃわしゃと頭を撫でられた後に、脇に手をかけられてそのまま持ち上げられる。どうも、視界がおかしいのだ。

「なに、この猫どこの猫?」
「学校に住み着いてるやつ」
「へえ、なんで阿部そんなこと知ってんだ?」
「…前に餌やったことあるんだよ」
「ふーん…てか阿部、何、考えごと?」
「いや、うーん」
「何だよー大丈夫かよー」

考えごとをしている様子だった阿部君が、こちらをじろりと見る。何だろう、そう考えていると、水谷君の腕の中から私を奪いとって、「まさかお前じゃないよな?」そう言った。
「なになに、どういうこと?」水谷君が興味津々といった様子で尋ねる。
「まさかな」
阿部君がそう呟いたところで、私は全てを思い出す。









あめのひ、ぬれたからだをふいてくれて、それからぎゅうにゅうをくれた、やさしいくろいかみのけの、にんげんの、おとこのこ。あべくん。
ひとことおれいがいいたくて、わたしは「ばけねこ」だってひょうばんの、ちょうろうねこじいさんのところへ かけていったんだ。

「おじいさん、おじいさん。にんげんのおとこのこに、ありがとうがいいたいの。すきになってしまったの。だからね、どうかわたしをにんげんにして!」

そういったらねこじいさんは、

「いいだろうこのじょうざいをのみなさい。まほうのじょうざいさ。しかしおれいをいったら、くすりはそれまでできかなくなるぞ。ねこにもどるのさ。そうしてふくさようで、おまえがにんげんになっているときは、ねこだったじぶんの“きおく”はなくなる。それに、おまえのにんげんになったすがたは、そのしょうねんと、ねこたちにしかみえない。それでもいいのかい」

おじいさんはいいました。
わたしはうなずいて、その じょうざいをくちにふくんだのです。











「…で、その猫どうすんの?阿部」
「連れて帰る」
「連れて帰るって、飼うってこと?」
「そうだよ」
「いいなあ、猫ー俺もほしー」
「てゆうか、阿部って猫好きだったんだ?」
「あー…まあ、好きだよ」


私も好きだよ。
そう願いを込めて、「にゃあ」と鳴いた。
なんだ、私は猫だったんだ。
なんだ、私が本当になりたかったのは、人間の、女の子だったんだ。

だけどいいや。
あなたの側にいれるみたいだし。




な り た い も の な あ に ?




ひとひとひと こどもおとなこども
ひとひとひとおんなのこ。
きらきらてくてく
ぺちゃくちゃしゃきん。

あなたとおしゃべりしていたい
次に生まれてくるのなら、

神様必ず、私を人間にして。
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