2013WD そのいち

いつもどおり、サンジくんと一緒に家を出て、学校についた。
隣を歩くサンジくんは今日はシャツに春らしいカーディガンを羽織っている。

うん、すてきだ。今日も。
日の光できらきら輝く金髪を眺めながら、じわりと心があったかくなるのを感じて頬を緩ませる。


幸せに浸りながら広い大学内を歩いていると、なんだか騒がしい足音が近づいてくるのがわかった。



「おーい!●●ー!サンジー!」

「よう、ルフィ」

「あ、ルフィ、おはよう!」



大きな声でわたしたちを呼びながら、ものすごいスピードでルフィが駆け寄ってきた。
ルフィが寝坊してないなんて珍しいなぁ。エースさんががんばって叩き起こせたんだろうか。


朝だというのに、ルフィはにかっと満面の笑みを浮かべている。
ルフィが笑顔なのはいつものことだけど、なんだか今日のは違う気がして、不思議に思った。

なんだろう、何が違うんだろう?
うーん、いつもよりちょっと嬉しそう…かも?


「●●!手ェだせよ!」

「え?」


楽しそうなルフィはいいから早く、とわたしに手を出すように促す。
いたずらされるようにも見えないし、一体なんなんだろう?

となりにいるサンジくんの様子をうかがうように見上げても、サンジくんは何も言わず微笑んでいるだけだった。
うん、かっこいい。じゃなくて。



「いいから、ほら!早くだせよ!」

「わっ!」


ぐい、と腕を引かれたかと思うと、手のひらの上に、何かがぽろぽろ落とされた。
ピンク、白、黄緑、水色、黄色。
小さい、きらきらしたかたまりだった。



「こんぺいとう…?」

「しししっ!昨日エースと買いに行ったんだ!」

「えっ、わたしがもらっていいの?」

「おう!いいぞ!●●にやるために買ってきたんだからな!」



にかっ。嬉しそうにルフィが笑った。となりでサンジくんもククッと楽しそうに笑ってる。


この金平糖、ルフィがわたしのために買ってきてくれたんだ。
ルフィが食べ物を人のために買ってくるなんて、理由はまったくわからないけど、嬉しいなぁ。



「かわいい!おいしそう!ルフィ、ありがとうね」

「おう!」



少しやりとりをした後、ルフィはまた世界記録並のスピードで走っていった。
本当に嵐みたいだなぁ。

それにしても、金平糖、本当にきれい。
両手いっぱいの金平糖を見つめると自然に笑みがこぼれる。ルフィらしいなぁ。



「クク、さすがルフィ、包みもナシで直接か」

「うん、ちょっとびっくりした」


ちょうど持っていた袋のなかに、宝物みたいな金平糖をぜんぶうつした。
その中から、黄色の金平糖を選んで、ひとつつまむ。



「サンジくん、あーん」



サンジくんは優しい目をして、すこし目を伏せて口を開いてくれる。
その口の中にゆっくりと、彼の髪と同じ色の金平糖をいれた。



「サンジくん、おいしい?」

「うん、クソうめェよ、●●ちゃん」



そういって微笑んでくれるサンジくんはやっぱり素敵で、思わずにやけてしまう。
袋の中では、まだいくつもの金平糖がきらめいていた。








→そのに



(20130311)

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