そのいち


「へェ、このへんで祭りがあるのか」

「そうなの!結構大きいお祭りみたいよ、花火も上がるし屋台もいっぱい出るって。皆で行かない?」

「●●ちゃん、好きだろ、こういうの」

「うん、だいすき!いいね、行きたい!」



大学の近くでお祭りがあるらしいということをナミが聞きつけてもらってきてくれたチラシには、盛大な花火の写真とおいしそうな屋台の食べ物の写真が載っている。

夏の一大イベントである夏祭りに皆で行けるというのに断る理由は一切なくて、二つ返事で返した。

いいよね?という意味も込めてサンジくんをちらりと見ると、サンジくんも心なしかいつもより楽しそうに微笑んでいた。



「せっかくの夏祭りなんだから、浴衣着ましょ、●●」

「賛成!楽しみだなー」

「●●ちゃんとナミさんの浴衣ァ!?」



ガタッとサンジくんが立ち上がる。とっても嬉しそうな顔。
ナミにうるさい!とはたかれて少し落ち着いて座りはしたけどまだちょっとめろりんしてる。



「そうだ●●ちゃん、ちょうど新しい浴衣欲しいって言ってたろ。この機会に買おうぜ。一緒に選ぶよ、今度買いに行こうか」

「だーめよサンジくん。●●の浴衣は私が一緒に選びに行くの。着付けからヘアメイクまで全部任せて!」



やけに気合いの入ったナミがびしっとサンジくんを制止した。
サンジくんは、ナミさん、なんでだい、と少ししょんぼりした様子で聞いてもナミはなんでもよ!と曲げない態度を見せていた。

サンジくんに選んでもらうのもいいけど、センスのいいナミのことだ。
きっとかわいく仕上げてくれるに違いない。ここは甘えておこうかな、と思ってちらりとサンジくんの様子をうかがう。



「…●●ちゃんはそれでいいかい?」

「うん、ナミならきっとかわいくしてくれるよ。サンジくん、楽しみに待っててね」

「そうかい、●●ちゃんがそういうなら楽しみに待つことにするよ」



少し寂しそうな様子だったけど、たまにはこういうのもいいよね。








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