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すずめの鳴き声で目が覚めた。
遮光性が高すぎて、閉めれば朝でも昼でも夜に思えてしまうカーテンを、左腕を伸ばしてパタパタ探して掴む。シャーッと半分だけ開けると、一気に光が部屋に差し込んで来た。
ぎゅっと閉じた目を開いて見えた天井は、いつもと同じクリーム色で、端っこの方には幼稚園児の頃に綱吉と郁ちゃんと3人でした、消えないいたずら書きのあとがある。
うん。いつもと変わらない朝だ。
いつもと変わらない?……ううん、今日から私は中学生になる。

寝ぼけ眼で目覚まし時計を見ると、時間は6時10分。おお、久々に目覚ましより早く起きた。感動しながら目覚まし時計をオフにして、ノロノロと起き上がる。いつも寝起きが悪いけど、流石に入学式の日は目覚めがいいみたい。

バタバタと廊下を走る音がして、私の部屋の前で止まったと思ったら足踏みしてる音がする。ああ、郁ちゃんかな。私が起きてるのか考えてるのかなー。笑いそうになるのを堪えて、でも郁ちゃんは無視して机の引き出しの一番奥に入れた箱を取り出した。

中には2つの指輪とティモ――イタリアのおじ様と文通してる手紙。1つはおもちゃの。もう1つは、ティモがくれたたぶん本物の指輪。なんて言ったっけ、印環とかシグネットリング?みたいな形のもの。どっちも大事な宝もの。貰った頃にはぶかぶかだったそれも、もう付けられるかな。そう期待して、左手の中指に通す。

「……ッ、!」

カァッと指輪が光って、ぎゅっと目をつぶる。

なになになになに!!?

サァーと、部屋の中なのに風が吹いて、不思議に思って目を開くとそこは部屋じゃなかった。

「……はぁ?」

なんで?なんで公園にいるの私。え、でも足の裏の感覚は冷たいフローリングのまんまだ。えぇ?

「――――、」
「――、――」

誰かの話し声がして、振り向いた。懐かしい声――

「……ティモ?」

……と、私?







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