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「んん……」

ふと目を開けると、暗くなっていた。遮光カーテンの隙間から入っていた明かりもなくなっていて、部屋が真っ暗だ。

「何時……」

ぱたぱたと手探りでカーテンを探して少しだけ持ち上げて外を見ると、ほとんど暗くなっていて藍色の空が見えた。結構寝ちゃってたのか。これくらいの明るさだと7時とかそれくらいかなぁ……。

「ん〜……」

今日はシュウちゃんがいないから、綱吉んちで夜ごはんを食べることになってたはず。目を擦りながら部屋を出る。
廊下に出ても家の中は静かで、郁ちゃんが呼びに来ないってことはまだ課題をやっているのかもしれない。

胸元で揺れる指輪をきちんとTシャツの下に隠してから、手土産に買っておいた業務用のバニラアイスを持って家を出た。





「いらっしゃい、沙耶ちゃん」
「お邪魔しまぁす」

すぐに出迎えてくれた奈々さんにアイスを手渡す。業務用の大きいアイスだから、食べる人の多い沢田家でも十分足りるだろう。

「皆で食べて」
「あらぁ、ありがとう。なんだかごめんなさいね、気を使わせちゃったみたいで」
「ううん、奈々さんのご飯楽しみにしてきたから!洗い物出しちゃうけど、量があるから皆で食べられるでしょ」
「そうね、ありがとう。今ね、獄寺くんたちも来てるの。順番逆になっちゃうけど、せっかくだから、食べていってもらおうかしら」
「奈々さんの好きにしていいよ。今日だけで食べ切るのも大変だろうし」

じゃあ、お皿に盛らないとねと笑って奈々さんは台所へ向かう。二階からはなんだか賑やかな声が聞こえてきているけど、課題は済んだのだろうか。

サンダルを脱ごうとして、男物の靴があるのに気付く。
品のいい革靴は中学生が履くようなものではなくて、一瞬家光さんが来てるのかと思ったけど、それなら奈々さんがあんなに落ち着いているはずがないと首を振る。
綱吉や郁ちゃんの靴以外に3つ靴が並んでる。獄寺くんと山本くんはいいとして……あと一人は誰だろう。

誰か新しく友達できたのかなぁ。
いくら同じクラスでも、交友関係を完璧に把握している訳では無いので、首を傾げた。
私用のスリッパを出して、台所で小皿を出している奈々さんに声をかける。

「奈々さん手伝う?」
「大丈夫よ。ツッくんたちの様子見てきてくれるかしら。もう帰りそうなら引き止めても悪いし…」
「はあい」

時間も夕飯時だし、それもそうかと思って綱吉の部屋へ向かう。玄関のところでも聞こえた盛り上がりに少しため息を吐いて階段を上がると、綱吉の部屋のドアが開いていた。……やけに声が響くはずだ。

「綱吉ー?郁ちゃんも、アイス食べる……って、多いなおい」
「あっ沙耶!来るの遅いよ!」
「沙耶ー!」
「うぐっ」

廊下から顔を覗かせた私を見て、綱吉も郁ちゃんは顔をぱっと輝かせる。どうしよ、かわいい。
でも私に抱き着いてきた郁ちゃんのせいで前が見えない。
郁ちゃんを軽く宥めて、部屋を改めて覗くと、知らない人が2人も。女の子とおじさん。

綱吉の部屋は広くないのに、なんだかすごい人数集まっている。こんなに人がいるの初めて見た。おじさんにいたっては座る場所なくてかベッドに座ってるし。

「よっ浅葱。」
「遅ぇぞ!もう課題終わったからな!」
「いや私行くなんて答えてないし」

爽やかに挨拶してくる山本くんと、早速睨みを効かせてくる獄寺くん。対照的だなぁと思いながら、変なコスプレをしているリボーンくん、女の子のそばでぐだっとしているランボくんを見た。

えっと……女の子とおじさん含めて、8人分かな?




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