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すっぱり断ると、その返事が意外だったのか、リボーンくんは大きな目をぱちくりさせた。
私だっていつまでも綱吉と同じところにいるつもりはないし。それに、たぶん私はファミリーにはなれない気がする。気がする、じゃダメかもしれないけど。

「理由はなんだ?」
「あ、やっぱ理由いる?」

うまく言えないんだけど……と言いながら、指先で首にかかっている指輪を弄る。
……あぁ、これも理由の一つか。でもこれは言えないしなぁ。

「まあ、おっきな理由としては、危なそうだから嫌」

一番使えそうなのはこれかなぁ。思ってない訳じゃないし。

「マフィアでしょ?皆がみんな悪いとは言わないけど、危なさそうだから御遠慮しますってことで」
「ツナはいいのか?」
「んー…心配だけど、男の子だよ?頑張って」

事情はティモからの手紙でなんとなくは知っている。
私が指輪を持っていることで関わりを否応なしに持たされる日が来るのだろうとも、わかっている。
それまでは束の間の平和を享受してもいいんじゃないのかな!という、私のなんともまあ身勝手な理由もあったりするのだけれど。

「心配しない気持ちがないわけではないよ?でも、私もなんだかんだ自分が可愛いし」
「そうか、お前がいたらツナもやる気になるかと思ったんだが」

そんなやや的外れな意見に、今日何度目かの苦笑いをする。
確かに、守るべき対象に私がいたら綱吉は必死になるかもしれないけど、私がファミリーになる理由がそれならば、私はますます入る訳にはいかない。

「それが理由なら、私はますますお断りしなくちゃ。綱吉の外堀にはなりたくないからね」
「外堀?」
「そう、外堀。もしいつかの未来、そのボンゴレが理由で私が治らないような大怪我をしたら、綱吉が後悔しないはずかないもん。巻き込まれるところまで巻き込まれて、それが理由で綱吉が継ぐのを拒めなくなるのも嫌だし」
「本当に大切なんだな」

感嘆すら混じったリボーンくんの言葉に、少しばかり照れる。

「大切だよ。家族みたいなもんだし」
「そうか」
「うん。――あ、本当にどうしてもって言うなら、準々ボンゴレ、みたいな枠にしておいて」

意見を変えたことが意外だったのか、いいのか、と探るような声色で言われる。

「ううん……あんまりよくないけど、でもなんか、これから先さんざん巻き込まれていく未来が想像できたから…」
「…悪ぃな」

ははは…と、遠い目でそう言うと少しボルサリーノを下げたリボーンくんは、ぼそりと言った。
謝られたのが予想外で、いやいや、と、手を振った。

「いいよ、別になんかもう。あ、でも危ないときには巻き込まないでほしいな」
「善処するぞ」
「ありがとー」

それなりに色良い返事が貰えたからか、リボーンくんはじゃあな、と言うと来たときのように窓から出て行った。

なんで窓からだったんだろう、と考えかけて、玄関からじゃインターホンに手が届かないのかと納得した。

私以外いなくなった部屋で、もう一度頭をおざなりにベッドへ預ける。

――夢、だったのか。

何言っていたのかはわからないけれど、優しい声だった。優しくて、暖かくて――それでいて切ない声。

上手く思い出せないそれらに想いを馳せて、私は目を閉じた。




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