kgpr | ナノ


まとめられてる所の、カノに『目を向ければ』平然と笑ってるし、カノの隣には先ほど肘鉄を顔面に食らわせた少年もそこにいる。周りが縛られているにも関わらず。平然と写メを自撮りしたり、気楽にしている姿が見える。平然と彼は欺きながらそこで笑っているのだ。

あれはあれでもんだいなさそうだし。能力といって手を離したのが、よく理解できた。何かにつけて気が付いてたんだろうな。と思いつつ、ムツは重たい腰をようやく上げてカノの言うとおり、キドを探しに虱潰しに陳列棚の一つ一つなんてせずとも、なんとなくムツには解る。キドの癖というか、なんというか。

ある一つの陳列棚から、頭が一つ見えた。堂々と頭一つ見えても、周りが気にしない素振りを見ると、彼女は能力を使っているのだろう。
探す手間もなかった。と思いつつムツは迷わず、そちらに歩を向けた。そこの陳列棚にたどり着いたらキドとマリー、そして見知らぬ少女が一人居た。

これまた新しいタイプのインパクトあるデザインのパーカーを着た子だ。なんだかふんふん考えてキドとよく似た携帯を触っていてその隣でマリーが携帯を伺っている。考えこんでるキドの隣に座り込んでから、キドに電話をかける。
短い呼び出し音の後、バイブが主張して女の子が慌ててキドに携帯を渡した。…その携帯、キドのだったのか。

「ムツ?」
「キド?」
「今どこだ?」
「今?」

隣にいるよ。と言い切って、ムツは、ようやく能力を解除した。ふと目線がマリーとあったので手をひらひらさせてみた。

「よ」
「キャァアアッ」
「うわあああっ」

女の子とマリーが驚いた瞬間に盛大に鳩尾をキドに殴られた。カノにいつも喰らわせてるせいか、鳩尾ど真ん中に的中して、うぐう。とお腹を抱えてムツは陳列棚に背を預けた。

「だ、団長さん。この人…」
「うちのメンバーだ。さっき言っただろう。私とキサラギの劣化版」

もうちょっと他の言い方をしてくれ。まるで私がコピー品ではないか。と苦情を入れたくても、苦痛でのた打ってるので、入れたくても入れれない。痛みもようやく収まって、自己紹介を執り行われる。

「ムツ、こんな場面だが。紹介しておく。新入りのキサラギだ」
「如月モモ、年は16歳です」
「…ムツ、睦月朔。」
「ムツさんは団長さんみたいに隠したり私みたいに奪ったりするんですか?」

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