朝早く…いや、午前3時頃に目が覚めた。気にせず二度寝の快楽を貪るために横に向く。なんか寝にくいから、と布団をかぶり直し、丸くなろうとしたら、なにか蹴った。布団にしたら堅いと疑いつつチラリと目を開けば、緑が見えた。 「あーキド?」 また人の部屋潜り込んで。しゃーねーやつ。とゴチて、キドに抱きつきながら、眠ることに専念しようとする。起きたら株価チェックしなきゃなーと思い出して、売り時は明日だと目が教えてくれたが、念のため。失敗したら生活費がねぇ…。 はずれることはたまにあるが、便利か不便かわからない目に感謝しつつ、蹴られた痛みがなんかで、潜り込まれた相布団の片割れキドがもぞもぞ起きた。 「ムツ?」 「はい、寝ろ」 どうせ他もまだ起きやしないだろうに。 「お前が能力使ったって、ちゃんと向いてるから。」 長い髪を撫でて、やれば、ん。と返事が返ってきて、その後に寝息が続く。なんだ寝ぼけてるのか。ベッドの半分以上を奪われたので眠ることなんて出きるはずもなく、諦めてリビングで寝直すか考えと、ムツは一人息をつく。お休み団長。と額に唇を落として、ムツは部屋を出た。 「ねむ。」 リビングのソファーと近くに転がるブランケットを手繰り寄せいい夢見れるかな。と思考が脳裏を掠めて、眠りの世界に旅立たせようと頑張れど、脳が無意識に眠ることを許してくれない…キドのせいで意識は完全に寝かせてくれない。 諦めて、別のことで時間を潰して、眠気がくるのを待とう。と、PCを立ち上げる。 手慣れた手つきでIDとパスを叩き込んで、デスクトップを表示させて、ウェブを開く。 癖になった株価チェックを済ませて、次に買おうとする会社の株について考えども目は教えてくれない。 不意に現れる目の能力は、いまだにに自分で上手くは扱えない。内容がささやかなものなら見せてくれるくせに、生活費関連は快諾して能力を出してくれない。 ホイホイ出るなら毎日くったくたになりながら能力を酷使してる筈だ。 「明日、キドにPC環境拡大していいか聞いてみよ…と」 株チェックしながら別の探し物はめんどくさい。いっそのことデュアルディスプレイにしてやろうと考える。全員分ぐらいの生活費を稼いでるから、それぐらい許してくれるだろうと、簡単に計算して、ムツは満足げに微笑んだ。 戻る 次 ×
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