ルドルフ | ナノ


その後全員で、トロイアの東の洞窟でシヴァを救うと同時にプロムの片割れであるパロムとトロイアの神官であるレオノーラを救いだし、ミシディアでラムゥを、アガルトでタイタンと向かい合い、コンビネーションを働かし、幻獣を正気に戻し、世界中を動いて異変を集め対応し、最後にミストに向かえば、霧のドラゴンがリディアに頭を垂れ、回るところが無くなったので一度バロンに戻ろうと言う話がでて、ファルコンは南東に向かう。
到着すると、バロン城にあった怪しい光もなにもなく、困惑を浮かべていると近くにあったバロンの飛空挺からダムシアン王が合流し、光はさっき消えていったと聞く。どうも、踏み込むタイミングを伺っていたようらしいが、戦力も増えたので、六人で城内に入る。前に受けた拒絶が嘘のように簡単に入り込むことができた。そのまま王の間に雪崩れ込むように入れば、誰かが「お前さんら、無事だったのか!」と歓喜の声をあげた瞬間に、金色の髪の男が静寂を生む言葉を落とした。

ゴルベーザ、と。
プロムは自分の聞いた音を疑った。先の大戦の、主犯……実際は操られていた。人間で。と、サメラに聞いた話だと、サメラとバロンのセシル王の兄で、先の大戦の終わりと共に月へ消えていったと聞いていたのだが。そのゴルベーザという人間が、どうしてここにいるのかと。プロムは首をかしげたが。ミシディアで聞いた、魔導船が飛んでいったという話をふと思い出して、この男が乗ってきたのではないのか。と言わずとも察し、合流した隊は左右に割れ壁際に空色の娘を追い込んだ。
追い込めど、バブイルの塔でみたように思うように転移をするならば意味がないのでは、とどこか他人事のように思いながらも、プロムは空色の娘を見た。

「次元エレベーターが稼働を開始した。これで、この星にはもう用はない。混じり物も回収したしな。」
「サメラさんを、どうするつもりなんですか?」
「月に運ぶ、これ以上教える気もない。」

女は無機質のような表情のまま手をスッと動かすと、バブイルと同じように影に紛れるように消え、誰かがそっと口を開いた、奴は月にサメラとクリスタルを運ぶようだ。そんな止めないと……、でも、どうやって……。そしてまた沈黙が降る。あるとするならば、とプロムは視線をゴルベーザに向けた。

「ゴルベーザ、さん。あなたは、魔導船に乗って来たのではないのですか?」
「そうだ。それに乗って、行こう。」

あれなら、青き星の戒めもなにもなく空へ行ける。
急いで支度をして、向かおう。

それは、異論も許さない決断であった。


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