ルドルフ | ナノ


同時刻。
エブラーナの王であるエッジは、バブイルの塔に向かう最中で。一瞬世界を焼くような大きく光を放つ柱を見た。先の大戦にて見たことのある光によく似たその光にエッジは、ふと足を止め光の根元を見つめると人の姿がそこに伺えた。向こうもこちらに気づいたようで、それはこちらに走ってくる。黒にも茶にもとれる色合いの髪を上方で結い上げているその姿は見覚えがあって、心当たりを舌にのせる。「…ルドルフの連れのちんまいのじゃねーのか?」駆け寄ってきて、えっと、あの。と慌てた様子で言葉を紡いでいるので、おちつけと説き伏せると、ごめんなさい。と小さく溢して、泣き出した。

「ごめんなさい。僕じゃ。僕じゃ!!」

溢れ落ちる涙に、エッジが訳もわからずに慌てる番でもあった。「わかった!わかったからどうした!落ち着け、な?何があった」落ち着けと繰り返してようやく、目の前の子どもは、ぽつりと語りだした。ミシディアの青魔導師で、サメラと一緒に旅をしていたのですが、とそこで言葉を区切りその手の中にある小さなダガーを見せた。

「おめ、それルドルフの!」
「サメラさんが、これを持ってエブラーナに逃げ込めって!」
「チビ、行くぞ。あいつは…あの光の方向か?」
「はい!…でも、たぶん。」

そこに、サメラさんがいると思えません。飛竜のような…サメラさんが、バハムートといっていたものと、一緒にいた人が回収するって…。
言葉尻がだんだんと小さく消えるように細くなっていた。それを聞いたエッジは一瞬考える。
回収するといっているなら、ルドルフは殺されはしていないだろう。相手の目的は全く見えないが、回収。と言っているならばそこに、ルドルフはいない。生きていても死んでいても…。
ここで、考えてても仕方ない。と判断したエッジはプロムに声をかける。走るぞ。乗れ。とプロムを自分の背中にのせて、バブイルの塔に行く。と告げれば、抱きつく力が一瞬強まってから、小さくはい。と聞こえた。

「あれの弟子なんだろ?兄弟子の俺にまかせろっての。」

安心させるように言い含ませて、エッジとプロムはバブイルの塔に向かうため西へ向かう。エッジが駆けながら、意識のすり合わせを行いつつも速度は尚も加速する。

「お前は、何で戦ってんだ?」
「僕は、魔物の力を魔法で。」
「ミシディアの三つ子だったっけな?」
「黒魔法も白魔法も使えますよ、サメラさんから教えてもらいました。」

あいつ、なんてもんを仕込んでんだよ。と呟いて二人は尚も西へ急ぐのだった


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