飛空挺のもとへプロムが走り出すので、ラルフはそっとその後ろを歩く。これで、プロムも一年ぶりに兄弟に会うわけだし、さて、どうするかな。と思案する。合流はできた。これ以上いるのも、ラルフがサメラであるというのが、解るリスクが増えてくるのだ。 のんびりと、した足取りで表に出ればプロムはパロムポロムの二人と再会し、転げるようにはしゃいでいる。 土を踏むおとを聞いて、六つの眼がラルフを見た。一瞬ラルフが躊躇したが、それでもラルフはプロムの隣に立った。 「プロム?」 「あ、ラルフさん」 「お前も兄弟に会えたし、このままお前が兄弟についていくと言うならば、一旦契約を終了しようとおもうのだが。」 「ううん。またミシディアに行くから。そのとき会おうね。長老にも、元気だよって伝えて!」 行こう。サメラさん。とラルフの手を繋いで、歩きだす。二歩ほど遅れて、ラルフもあぁ…ラルフだけどな…ま、いっか。と流しつつ、プロムの横に並ぶ。親子のようなやりとりを見ながら、パロムとポロムはその背中を見ている。小さくなってから二人は顔を付き合わせて、「っていうか、あれ、姉ちゃん!?」「サメラさんなの!?」と絶叫をあげ、セシルがそれをききつけた…が、それよりも重大そうなのが見つかって、地底へと飛びだつのであった。 「お前は兄弟にあえて、どうだった?」 「んと…二人が元気そうだな。って会えたのでよかったです。サメラさんは、セシルさんたちと会えてどうです?」 「プロムと一緒かな…。」 そういえば、竜騎手が共に居なかったことが違和感としてあったのだが、まぁ、何かあれば一度バロンに行ってもいいのかもしれないな。と思いつつ、二人はダムシアンを目指して歩く。山に差し掛かる途中で、空を見上げれば一つの赤を見つける。 「お、赤い翼。」 「どこかに急ぎなんですかね?」 「さぁ。でも、あれらがいるなら問題はないだろう。」 そうだ、プロム。とサメラが思い出したように、プロムと同じ目線に屈んで、その手に小さなダガーを持たせる。なにかあれば、これをもってエブラーナに駆け込め。お前の故郷のミシディアでもいいしバロンでもいいが、エブラーナの方が顔見知りはおおいのでな。そこは、場所に合わせてだ。いいな。とその手に思い入れのある武器を握らせる。青魔導師なら使える武器でもあるそれは、武神の名を冠ざした称号の元となったものである。 「サメラさん…僕は」 「いいんだ。もっとけ。何かあれば。と言っただろう」 何もなければいいんだけれどな。と言ってサメラが立ち上がり、ホブス山にむかって歩き出す。プロムもその後を追いかけるようにダガーの握って後ろを歩き出す。 そして時が流れ、十年ほど後に、それを使う機会がやってくるのであった。 インタールード完。 前 戻 ×
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