ぼくとリアクト マジカルハロウィン 4e 





ぼくがみかの兄弟たちの特等席をおもてなしして、すぐに『Valkyrie』と『Switch』の合同ライブの準備の最終練習を行う。先ほど指を温めたので、弦を抑える指はいつもよりしなかやに奏でてくれる。楽器を持って移動していると、ライブを終えたばかりのさくまさんたちと『Switch』が話をしてました。ぼくは迷惑にならない様にそっと横を通り抜けようと思っていたら、朔間さんに呼び止められました。

「愛し子から、枕元に差し入れがあったのじゃが。」
「はい?差し入れがどうかしましたか?」
「我輩の鼻にあうように酷く弱い匂いじゃったが、凛月にも同じにおいがあったからの。晦くんなら何か知ってるかと思ったんじゃが?」
「さぁ?調整役の贈り物では?」

ぼくはしらばっくれながら、楽器の調整があるからと足早に横を駆け抜けようと思ったら、その調整役に会ったらよく眠れたと我輩が礼を言ってたと伝えてくれんかの?えぇ、朔間の本家の言うことなので伝えておきますよ。とのらりくらりと返しておく。どうやらむこうも僕がやったと感づかれていそうだ。気付かれない様にしなければなりませんね。そっと首を振って消えようとしたら、あぁそうだ。なんて思い出したように朔間さんが僕を呼ぶ。

「少し前まで、きれいな弦楽器の音が聞こえたんじゃが、あれは晦くんかの?」
「そちらにかんしてはファンサービスの一環で行っておりましたよ。」
「とてもよい子守唄じゃったわい。」

…あぁ、聞かれてたんですね。ぼくが勝手にやったことに報われるのを感じる。本来の目的と違う来客が来たこともあったけれども、おおむね本来の趣旨は問題なく完結した。それはどうも、にっこりわらってぼくは楽器の調整がありますので失礼しますね。なんて最後に踵を返す。後ろで小さく何かをつぶやいたのは聞こえましたけれど、音にしかならなかったので深く追求することもやめます。えぇ。それでもうれしいので、ぼくの足はひどく軽い。ハーレムパンツが歩幅に合わせて揺れる。白のベールがお内容にふわりと浮く。きっと片割れも似たような姿をしたらとても似合うんでしょうね。そのまま舞台袖に入れば、人形遣いとみかが最後の確認を行っていた。

「遅くなりました、人形遣い」
「遅い、何をしてたのかね」
「朔間さんと二言三言交わしてました。調もすべてとってありますから、そこについてはご安心を。」

ほら、始まりますよ。と指差した先は『Switch』のライブが終盤になっていた。ぼくが先に入って演奏し、召喚図を展開していく構成になってたはずだ。ぼくが呼ばれて、人形遣いが、みかが呼ばれ『Valkyrie』のライブになる。もうすぐぼくの一足先の出番になる。先に行きますね。と一言残せば、人形遣いがぼくを呼ぶ。

「どうかしましたか?」
「なにかあったのかね?」
「さぁ、どうでしょう?」

質問を質問で返すな、御愚かしい。悪態を吐かれましたけれど、それでもぼくは気にせずもうすぐ出番が来ますから。そう言葉を残して舞台に入る。中央では『Switch』が中央に集まっている。そのまま光が膨らんで明るく照らし出した。そして『Switch』の持ち歌が終わる。それを裂くようにぼくがもってきた楽器でかき鳴らし、『Valkyrie』のライブへと塗り替えるように照明すらをも変えていく。あくまでも青葉くんが呼び出した。に重きを置いている。
会場を支配するように音を鳴らして、ちらりと舞台そでを見ると人形遣いとみかが何かを話している。まぁ、人形遣いの事だから入るタイミングをうかがっているのだろうk、どうでもいいことを考えながら、ぼくは中央に向かいながら音を奏でる。ゆっくりの速度をだんだんと上げていく。
きっと『Valkyrie』は二人でやって行っても問題ないぐらいになるのではないか、そう思いながら音を奏でる。ぼくもこうして奏でることに違うことをkんが得るんだなんて、余裕ができてきたのだろうか、あれやこれやと思いながらも楽曲に集中するために意識を切り替える。そろそろ歌いだして登場するはずなのに、二人が入ってくる気配が薄い。気を回して2小節ほど増やしておく、おそらく増やせばきっと人形遣いの計算が狂うだろうけれど、どこかで2小節ほど違和感なく削らせてもらう。ギリギリまで粘るか、思考を巡らせていると、話を終えたのか二人がはいってきた。両方からぼくを抑えて立ち、よく聞きなれた歌声をふるっていく。
ゆるぎのない真を持ち、どこか切ない色をしているそれに、ぼくはきにすることもなく頭の中の譜面通りにさらっていく。

「いきなり無駄に突っ走るな。あかもう思い通りに動かない人形たちめ。」
「きちんと出てこないから悪いんですよ。後の音にはボクの音も混ぜ込んだものを使ってますから、喋ったっていいでしょう?」

ほら、続きはじまりますよ。最後に激しいピッチカートを繰り広げつつ、音を展開していく。最前列では、みかのきょうだいたちが赤のペンライトを振っている。そんな姿に応援されてぼくたち長い音の旅を歩いているんだと自覚する。みかのほうによりつつ演奏していると、人形遣いと『五奇人』の末子が仲良く話してるのが気に食わないのか、みかが寄っている。こんなステージもいいですね。と思いつつぼくはおかしくて、クスクス笑う。逆先くんとみかと人形遣いだなんて珍しい取り合わせが面白くて、真面目な楽曲なのに音には楽しいという気持ちが乗ってしまった。そんな音を察知して、人形遣いが厳しく睨んでいる。

「ほら、影片、ステップがゼロコンマ1秒遅いっ!」
「んあっ?ごめんなぁお師さん?」
「コンマ一秒何一般には解りにくい話なんですがね。」

人形遣いのマイクに暴言が入りかけたのを察知して、ぼくは楽器を演奏する音を強くしておく。聞こえたらそれなりに問題でしょうからね。お嬢さんが人形遣いと話をしているのがめずらしくて、そちら見てしまう。逆先くんがいなしつつみかと人形遣いがあぁだこうだという。

「せやからお師さんに近い!なっくん、今は『Valkyrie』の出番やで〜。ほかの人はひっこんどき!」
「みか、落ち着きなさい」

いくら君が優れた演奏家であれど、飛行距離などには向かないのですよ。それでもぼくは音楽の手を止めるわけにもいかず目線だけで彼らの様子をうかがう。みかはお師さんとなかば兄ィとお師さんの人形だけがこの世界の頂点で中心なんや!楽しいなぁ。お師さんなかば兄ィ、今日もいっぱいいっぱい歌って踊ろう!お師さんは世界一の天才やその作品はこう背にも永遠に語り継がれる芸術品や、なかば兄ィも天才や。どんな音楽でもきちんと演奏しよるし、解釈して自分の世界にしていく。二人とも傑作やねん。せやから、この一瞬は永遠になる!おれらが何度死んで生まれ変わっても。いつまでもいつまでもちゃんと存在してるんや!
そうやって胸を張って言う姿を見てぼくもがんばらねばなりませんと自覚して演奏の手を強めるのでした。




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