俺と不羈!女神のトラブルライブ 2 





どこに集合するかと考える。俺のっていうか『Diana』がよく使っていた部屋をと思ったが、今俺一人だからいいんだけど、あそこに8人入るとは思えない。一人で広々使っていたが、無理だろう。仕方ないので大きな空き部屋をライブの日まで借りておく。メンバーの決まった翌日放課後16時集合連絡を仁兎とつむぎくんに連絡をいれておけばあとは連絡は自動的に全員に行き渡る学年にそろってるの便利だな。集合までに俺は、タイムテーブルを内容構成を三部に振って、それぞれのユニットを持ち上げる方向で、各部メイン以外は全員サポートにする予定だ。要らないと言われたら、はければいい。そしてラストに全員で楽曲を歌うようにする。それまでに俺は自分の楽曲を決めて時間を振っていく。ガリガリと紙に書いてまとめあげサンプルとして仕上げる。このサンプルを参照して、各ユニットの楽曲報告にしてもらう。それをもってライブ会場の打ち合わせ。そんな企画書を人数分作り上げてしまう。
俺の楽曲のうち1つは人の多いものアイリッシュをやろうとおもっている。ダンスレベルを見て難易度の調整を行うが、身長差はいかんせん考えねばならんだろう。あんずからもらったユニット資料を参考に男女役を振っていってだんだん楽しくなってきた。がっつり授業中に書ききって放課後速攻で集合場所に入って体を動かすつもりだ。いかんせんここしばらくまともに激しいのをしていないのだ、ゆっくり戻していく必要があるので、メトロノームを取り出す。
BPMを60に合わせて針を振る。四拍毎にベルを鳴らして、俺は音に合わせて部屋の中心でピルエットを始める。右足軸のアン・ドゥオール。メトロノームにあわせて回り続ける。
昔からいれていた基礎練習の一つ。まわりのタイミングと速度を合わせて、体幹トレーニングもかねている。五分ほどずっと回っていると、汗がじわっとしてきた。とりあえずメトロノームのゼンマイがなくなるまでやろうと決めて回っているとガラガラと扉が開いた。誰かが入ってきたので俺は緩慢に視線を向けると仁兎のとこの一年生と宙だ。

「ごめんなさい!練習中でしたか?」
「あ、えっと紫之だ。基礎練だけど、いつやってもいいし、平気平気ーこんちわ、入って入って。」
「せんぱいのせんぱい、宙はあいさつされるとあいさつします。こんにちは〜」

ぞろぞろと入ってくるので、俺は手近なさっさと人数分の椅子を出す。宙、椅子出し手伝ってーと声をかければ、宙ははーい!と返事して椅子だしを手伝ってくれる。ほいほいと作業していると、仁兎のところの二人が入り口で立ってた。一人は不思議そうに俺を見て首を傾げてるし、もう一人は顔を真っ赤にしている。

「青ちゃん先輩?」
「ばっか、光。青葉ゆらぎ先輩、『Valkyrie 』よりも前にトップを走ったリーダーの人だよ!」
「つむぎくんと間違えてるのか、そっか。」
「あの!俺、ファンなんです!あの!よかったらサインと握手ください!」

色紙とマジックペンを差し出されて、俺でいいの?と言うとゆらぎ先輩のアルカナイの人々の最初のピルエットが。と言い出したので、曲を入れ換えようと決めつつ、差し出されたペンと色紙を使ってサインを書く。きみ、どんな文字?と聞くと、ひとつひとつ答えてくれるので書き足す。ついでに君のユニットも書いておくよ。うん。『Ra*bits』の真白友也くんね。とりあえず覚える。そうだね。ほい。と差し出せば一瞬泣きそうな顔してるので、やりすぎたか?とぎょっとしたが嬉しかったらしい、目を擦って大きく一礼された。いや、俺そんな神格化されても困るんだけど。返答に困っていると仁兎とつむぎくんがやって来た。

「ゆらぎちん、友ちんを泣かすなよ〜」
「いや、泣かしてねえよ。サインしたらこうなってんだから。俺のせいか?俺か?」
「に〜ちゃん、違うんです。俺、ゆらぎ先輩の居る頃の『Diana』がとても好きで、会ったらサイン貰おうって昔から思ってて。」

そこまで聞いて仁兎があぁ、と納得された。つむぎくんはゆらぎくんは人を扇動しますからねぇ。と言うけど、それ昔の話であって、今の俺の話じゃないの。きっぱり言ってやると、ほら泣き止め真白。と頭をぼさぼさになるぐらいに撫でてやる。後輩って部活もユニットも居ないけど、居たらこんな感じだったのかもな、なんて今更ながらに思う。あと殺されるだけの俺のユニットに継ぐものなんていらないけどな。すいませんとしょんぼりする彼に今回アルカナイやるから元気だせ、と声をかければ、ガバッという擬音が似合うほど顔をあげてえっ!?みたいな顔された。俺がえ?だわ。

「あれは六人じゃないと。」
「いや、別にペア一個増やせば別にもんだいないけど。あれぐらい」
「アラディアの方が!」
「それよりもムーサの方が。」

お前、ほんとコアなファンだな!っていうか、さらっとつむぎくんが入った方が驚きだよ。まぁ、いいけど。その辺りの話はあとにしてくれ。ちょうど、夏目やあんずも来たところなんだから。ほらほら入れ入れ。と促して全員が着席する。

「今回は俺主体になってるけど、それでいい?」
「ネームバリューでも『Diana』が一番上なんだからそんなに気にする必要もないでショ。」
「いや、念のために聞いてるけど。それでいい?仁兎。」
「おれらも弱小ユニットだし、一閥のゆらぎちんが指揮をとるのが妥当だろうに。」

そわそわしてる瞳を見ながら、俺は今回のざっくり企画書を配る。始めに言っとこうと思うんだけど、と口を開いて。
今回の概要だけど、今回は『Diana』さえ居ればいい。とかっていう注文が入ってるんだけど、四部に分けてにしようと思ってます。頭3部は各ユニットを主に据えて、最後は全員でやるような感じに持っていこうと思っていること。メインをはらない部に関しては他のユニットはバックダンスに配置しようと思っていること、要らない場合は要らないって言ってくれ。最後の部は今振り付け準備中だから、一週間、いや三日は待ってほしい。その間に楽曲テンプレートに提出して欲しい旨を伝え、この案を持って先方と打ち合わせる。そして、最後に俺の推測をぶちこむ。

「んで、お願い。っていうより命令に近いんだけど、ここのライブ会場っていうか、依頼先からもしかするととんでもない爆弾が投げ込まれてくるかもしれないけど、その時は遠慮なく俺に全部言うこと。」
「爆弾!?」
「語弊はあるからちゃんと言うけど、無理難題飛んで来る可能性がある。逐一全部解消するから、俺に些細なことから昨日の晩御飯まで報告をよろしく。」
「ゆらぎちん、」
「いいんだよ、俺も試されてんでしょう。」

そこの企画の依頼主、俺のほかのメンバーが所属している事務所だからね、去年の俺は基本校内ひっそり裏方活動してるから見てみたいんじゃない?それかサポートだし、だからこれだけ自由にさせてくれるんだと思うし、矢面には俺が立つ。万が一今回が失敗したらお前ら用に仕事とってきてやるから、安心しろ。
口から出任せなんて慣れてる。つつがなく流れ出る嘘を固く固く塗り固める。そうだ、これは試されてるのだ。きっと。俺を捨てるための準備だろうけれど、やっぱりあいつら出ないのかよ。

「そんな感じだから、ま、気楽になんでも言ってくれよ。あんずも。」
「私もですか?」
「そりゃそうだ、お前もここに立ってるんだから。プロデューサーだけども、いいんだよ。なんでもいえ。なんでも叶えてやる。」

俺にビビって一年お前らが何から伝言を頼まれても絶対に断れ。各ユニットの3年に言ってください。か、俺を呼べ。って言えよ。絶対にな。一年、返事!と声をかければ4人揃って頷いた。そんな光景を見て、ライブの打ち合わせは終わり。今日はこれで打ち合わせは終わり、衣装サイズの書類の日時を決めるだけ決めて、衣装案をあんずと打ち合わせる。

インドネシアのレース地の上着と巻きスカートアレンジのクバヤとサルン派の俺とブレザーっぽいデザインに変えられたクルテ。のどちらにするかと大議論をして、私のお願いはなんだって聞いてくれるってゆらぎ先輩言ってましたよね!と言質をとられてたので、あんずの推すクルテになりそうです。っていうか、そっちの方面で言ったつもりはないんだけどなぁ。仕方ないね。回ると綺麗だけど、落ちそうだから、安全ピン全員分よろしくお願いします。



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