俺とリフレクション!ミラーライブ 5e 






そうして練習をしてライブ当日。トラハトと、レーダーホーゼン。スイス寄り民族衣装モチーフで頑張ったらしい。女役俺とひなた。男役つむぎくんとゆうた。それから天祥院の取り組み合わせの『Helios』は間もなく舞台に立つ。踊れることにワクワクしながら舞台袖まで歩いていれば、唐突に俺の名前を呼び捨てに誰かがした。振り返ると、昔の仲間が立っていた。

「あぁ、お前たちか。」
「元気だったか?」
「まぁね。」

このライブに参加してたんだね。とうなずいているが、彼らの目は笑ってないのを見た。やっぱり変わってないよなあ。なんて感想を持っていると、お気の毒だね。こんな敵地に来てわざわざ敗北しにきただなんて。
それを敷いたと同時に、これがんあんとなく出来レースだったのかと知る。主催が地域の名前だった割に、あいつらの会社の名前が見えてあので、気をつけてたのだが。まさかここで一緒になるとは。俺は笑顔をはりつけたまま、先に行っておいてくれよ。と彼らを見送って、俺も切り替えようじゃないか。俺を誰だと思ってるんだ?天下の『一閥』様だが?

「知ってたよ。出来レースだなんて。でもさ。審査員からの点数だけじゃなくて見てる人の投票も同じ割合だろ?お前らをおんぶに抱っこしてた俺は、お前らよりも耳目を集めれると思ってるから参加してるんだよ。さ、喧嘩をしようか。お互い血まみれで倒れるまで踊りつくそう。俺ができないことなんてないよ。」

遠回しじゃなくまっすぐどストレートな牽制を行って、俺もそろそろ時間だからと笑ってあいつらの間を抜けた。人を煽ることに関しては負けるつもりもないので、後ろからの音を気にしながら、駆け足気味で抜けると、ゆうたが俺に気づいて手を振ってくれたので俺は手を振替して歩み寄った

「久々に会われたんじゃないんですか?」
「倒しに来た相手だしね。煽って怒らせてたらいいんだよ。どうせ俺達の一個前の出番がアイツラなんだから。」
「えぇ!?ゆらぎ先輩って結構好戦的?」

さあどうだろね?適当に笑て舞台を見る。ちょっと肩に力入ってるね。と笑いながら鑑賞して、次の俺達の番を待った。

「ゆらぎくん、始まりますね。」
「そうだね。パートナー。そういえば、今日夏目と宙来るって言ってたぞ。」
「本当ですか?
「そう言ってたからな。来てるだろ。」

俺のところには来てないから知らないけど。とこぼしながら、舞台袖から舞台を見てみたがよくわからない。まああとで携帯見たら?どやされてるかもしれないけどさ。とからかうように言ってみると、やめてくださいよ。痛いんですからね。あれ。と殴られる前提でいる様子だ。

「ゆらぎも、つむぎも。賑やかだね。」
「蓮巳は見に来てるのか?」
「来てるみたいだよ。ゆらぎが膝を酷使してないか気になってるみたいだけど。」
「そっか。」

また膝を使って。と怒られる図は毎回見えてるので、そこについては聞かなったことにして。俺は聞こえてくるリズムに少し眉根を寄せた。

「またか。もう。」
「なにか言いましたか?」
「なんでもないよ。」

似てる曲調を持ってこられたか。いっそのこと全部新曲でも持ってくればよかったな。とか思いながらも、俺はすっと息を吐いた。ここでうじうじしても仕方ないし、そろそろあいつらも終わるかっら円陣組むぞ。そう声をかけて、俺達は小さく簡素に声を上げた。ひっそりすぎるのがちょっとおもしろくて全員で笑ってるとスタッフから出番です。と声をかけられたので、じゃいくぞ。と笑って俺達は輝くスポットライトの中に出た。
薄暗い中で天祥院がピルエットを回りだせばピンスポットが天祥院の形を作り出す。そのままぐるぐる回って、俺とつむぎくんが回る。
『ミラーライブ』の本質は鏡。対象、そして対がコンセプトだ。真ん中に一人を別のフリにして左右で分けた男女役のペアはそれぞれ踊りだす。天祥院を鏡として俺達は鏡の向こう側とこちら側を演じて踊り、最終的に一つになって、最後に男女の立ち位置が逆転するような構成だ。まさに『ミラ』として役回りをさせているのだ。
ぐるりと回ってると大きな音と同時に音楽が鳴り出して、俺の血を沸かせているようにも感じる。ほとばしる熱が、どこまでも俺を走れと競り立てる。歌うとマイクにのって遠くまで声が響く。それに呼応するように観客が声を上げる。それに負けるかと俺達も歌い踊る。高さも揃えるように気をつけておくのが俺達虚像と実像。
まるで俺みたいだよね。どっちかはっきりしないの。アイドルなのか、そうじゃないのか。こうして踊ってるとなんだか世界がぐるぐるしてるけど、でも、まぁあれだよ。トランス入るっていうか。悩みも全部飛んじゃう的な?きっと俺はこの瞬間を得るために躍りに固執してるんじゃないかと、考えが至った。ストンとどこか心地よいところで落ちた気持ちだ。
今回、参加したのが、葵たちでよかったな。そう踊りながら感想を持った。ミラーとして対としてお互いを移すような鏡として、そして違う俺達は、葵たちに劣らず似ているのも功を奏してかはわからないが、観客点ほぼ満点を獲得し、優勝した。
また5人でライブしような。と約束を取り交わすことになったし、あいつらの悔しそうな顔を見れたので俺は満足です。審査員点微妙にギリギリだったからね。どんまい。あいつら。




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