008

ねぇねぇ。さっきの”個性”ってなにー?ワープだろ。いや、テレポーテーションだって。残念、どれも違います。
さっきの戦闘訓練の反省会として、いろいろ話を聞いていると”個性”によって戦略の幅がだいぶ違うなぁと思いながら、受け流す。知られても別に困らないし、指差しはしばらく有用そうなので黙っておこうかな。と思いつつ、解説をする。なんとなく知らなかった奴を覚えながら、さっきの戦闘訓練の相手、爆豪はさっさと帰ってしまった。

「アイツすげえよな!や、沖方もすげーけどさ!あ、俺切島な!」
「お…おう…」
「強い”個性”だよなー。自分も飛ばせるんだろ?」
「いや、飛ばせないんだよね。だって、自分は人だけれど、他人は物じゃん?認識。」
「え…。」
「いや、言い方を変えるけれど、置く前に必ず持つっていう行為が発生するからさ。自分で持たないと置けないじゃん?」

人があってこそ。という風なニュアンスで伝えると、あぁ。そういうことね。と梅雨ちゃんがいう。右手で右腕を持てないような、そんな感じ。と伝えるとあぁ、と一同が理解して、ほかの話に移っていく。
がやがややってる彼らを見ながら、ふと元気だなー。とか思いながら、眠たい。と思いつつ、うとうとしてると百ちゃんに起こされる。うーん。眠たい。だらだらして放課後過ごしてたいなぁ。とか思いながら、眠気を覚ますために購買でジュース買ってくる。と席を立つ。
ついていこうか?と言われたが、賑やかになってるし、楽しんどいてー。と手をひらひらさせて私は教室を出た。
彼らを見てなんか、いいなぁ。とも思うと同時に、自分がちょっと情けなくなってきたような気がする。目的が不純すぎて、彼らがまぶしくて見れない。いや、親からの小遣いアップが目的て不純すぎて、あれだよ。それだよ。なんか、ほんと。申し訳ないなぁとどこか後ろめたさが湧き上がる。もしかしたら、自分のところに誰か別の人が立っていたら、と考えると何とも言えない影がわく。遠くで爆豪の叫びが聞こえながらも、あぁ、青い春だな。とどこか他人事になってる自分の性根から、ヒーローになんて合わない。免許さえ持ってれば、能力を合法的に使えて、なんだかんだ楽できるんじゃないかとか思ってたけれど、なんともなぁ。という気分だ。ぼんやり持たれていたこともやめて、自動販売機のあるところに、向かうと緑のモサモサの子が反対側から歩いてきた。
どことなくとぼとぼ歩いてる様子だったので、そっと声をかけてみると、あ。沖方さん。と言われる。が、残念ながらこっちは覚えてないんだよなー。

「戻るの?」
「うん。えっと沖方さんは?」
「のみもん。買いに。一緒に戻らない?えーと」
「うん、一緒に行こう。僕。緑谷、緑谷出久。」
「よろしく。緑谷君。」
「反省会、参加しないの?」

眠たかったから、出てきたの。と返事をしながら、沖方さんの”個性”ってすごいよね。なんか、いろいろできそう。とブツブツいいだしたので、ちょっと怖かったけれど、まぁ、いいよ。梳きに喋っといて。聞いとくから。と思いつつ自動販売機まで来たのに、財布を忘れてて陽気な佳英さん。だった。のが、この話の落ち。


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