045 一瞬視界が色を無くした。壁にぶち当たって何枚か貫く。ガラガラと音を立ててコンクリートが崩れていく。やばい。オールマイトが来た。相澤だけでも捕らえたのはでかい。 一人は無力化をした、と思っていたが、苦しみもがいている間にオールマイトは相澤の上で寝ているコンクリートをぶっ壊して、相澤のカフスまで取っちまった!そして壊したぞ。待て!!捕獲ルートなくなるじゃん!! 待って待って!!、ルール違うくないですか!?って叫びだそうとしたが、「リカバリーガールから聞いただろう?」相澤があくどい笑みを浮かべ、歩み寄ってくる。オールマイトは首を鳴らしている。どっちも余裕綽々としてる。本能は逃げろと言っている。二人に背中を向けて走ると、相澤は、リカバリーガールはハンドカフスをかける。とは言ったが人数を言ってないはずだ。ルールの穴をついてくるなよ!!相澤ぁあああ!!!!?????っていうか、この場合オールマイトだ。乞わずなよ。っていうか、三個用意してよ!!ばかぁ!! 「待った!ちょっと待った!!」 「おっと、敵はまってくれねーぜ!」 オールマイトの右がまっすぐ飛んでくる、”個性”は相澤に消された。攻撃的な”個性”でないので、武器になるものは少ない。吸い込まれるように腹に拳が一発。衝撃で土煙を巻き上げながら、ブッ飛ばされて転がる。全身砂まみれ、コンクリートに頭をしたたかにうち、視界で星が飛ぶ。首を振って、ちかちか動くタイムを見ると残り3分。ハンドカフスは一つつぶされた、一つで二人をつなぐほどの強度はない。二人をつなぐことは無理だ。 ぐっと起き上って、砂煙の中にまぎれるように姿を隠せどオールマイトのパンチ一つで凪がれていく。煙の間にどこかのフロアらしき平べったい大きなコンクリート片を見つけて四つほど個遠い視認できる建物の屋上にバランス悪く配置して、オールマイトを遠くに置きなおすことに成功する、煙の向こうで相澤が見えた。処理している暇はない。あわててゴールまでまっしぐらに走る。沖方待て!と相澤がナイフを片手に飛び込んでくるが、私はもう”個性”を発動するつもりはない。ゴール目算100メートル。放送があと30秒前とアナウンスが聞こえる。遠くでオールマイトが技を出そうとしてる雰囲気はわかるが、振り返る余裕もない。目的のゲートにまっすぐ走る。相澤の捕縛武器の布は壊して。ロープとしての効果なんて全くない。ビルを三つ渡ったと同時にオールマイトがスマッシュの勢いを利用して飛ぶ。それと同時に、屋上に配置したコンクリート片が頭上から落ちてくる。これは一種の賭けでもある。間に合わず下敷きになるかならないか。まともに戦っても勝ち目はないのだ。かろうじて滑り込むようにコンクリート片の下を潜り抜け振り返ると、砂塵を生み出しながらオールマイトがそのコンクリートを殴り割る。目があった。一瞬がふと何十秒にも感じたが、瞬間にオールマイトを地面に置いて、すぐさまにゲートに走る。 ゴール2歩前で、相澤の放ったナイフが肩に着弾したが、耐えて、アナウンスが3秒前と言う。後から待て!と相澤の声が聞こえるが捕縛武器もナイフもないのだ。いける、あと一歩。オールマイトの拳の風を受けて倒れるようにゲートを潜り抜け、残り1秒で相澤・オールマイト戦をクリアするのだった。 「死ぬ。三途の川が見える。」 「沖方、よくやった。合格だ」 「…う…うぷっ…」 地面に倒れこみ、オールマイトの拳の影響が今更になって帰ってきた。気持ち悪い。吐きそう。っていうか吐く。私の体力が限界だった。オールマイトが手を差し伸べてくれたが、その手をとることも叶わず、吐瀉。夢ヒロインって、なんだっけ?論者、まかせた。 ←/back/→ ×
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