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授業が終わって着替えているときに、隣が一気に沸いた気がした。はて、と思ってそちらの壁を見ているとほんの少しのくぼみが見えた。そっと近づいてみると小さな穴が一つ。もしかしたら昔に開けられていたのだろうか、隣の耳朗ちゃんをつついて、静かにするように口元に指を立てて、それそれ。と指差してみる。耳朗ちゃんも気が付いたようで、二人でそこに寄ってみる。穴から誰かの言い争う、いや飯田と峰田の争う声がする。

峰田くん。やめたまえ!!覗きは立派な犯罪行為だ!オイラのリトルミネタはもう立派な万歳行為なんだよぉお!!目を覆いたくなるような現実がそこにあった。突き刺すようなものあったかな、と思いつつ耳朗ちゃんを目配せをする。

「八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!麗日の麗日ボディに沖方のぺったんまな板、蛙吹の意外おっぱァァァアアア」

ずどん。というような音を立てて耳朗ちゃんのイアホンジャックが壁の穴めがけて飛ぶ。眼球に刺さったらしく、峰田の天を割るような叫びが聞こえた。…っていうか、っていうか、まな板っていうなよぉお。私も気にしてるんだよ、なにしてるのかな峰田。馬鹿なの?アイツ絶対生き埋めにしたる。

「峰田、殺す。」
「佳英ちゃん、そんな物騒な言い方は駄目よ」
「そうだね、梅雨ちゃん。峰田。生きた形跡さえも残さない。」
「佳英ちゃん、どこに置いていこうとするの!?」
「いいじゃん。きみたち、スタイルいいもん。私のお胸はまな板なの!君たち発育よくてほんとうらやましいんだけれど!!」

おばちゃんに分けてよ!!っていう言葉だけは必死に呑み込んで、泣きそうなのを桃に慰められる。違うよ、年上なのにまな板な自分が許せないんだよ。ほっとけ…峰田。むり、心が壊れそう。年上の威厳ないね。悲しくて前が見えないよ。


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