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ヒーロー基礎学は運動場γで救助訓練レースだとオールマイトは言った。広い運動場でオールマイトが救難信号を出す。そこに誰がたどり着くか。だそうで、21人クラスなので、5人1組3つと6人1組が一つ。籤運最悪な私もどこかに混ざれるらしいから、ちょっと安心できる。初回は緑谷尾白飯田芦戸ちゃん瀬呂。機動力が高いやつらばっかりで構成されてるので、優勝トトカルチョをしようと盛り上がっている。
号令と共に全員が、行動を開始する。上に飛ぶ組、下を走る組といろいろあるが、どうしようかな。と思いつつ、観戦用画面を見つめる。

「佳英ちゃん。」
「どした?麗日ちゃん」
「一緒の組だから、頑張ろう?って言おうと思って」
「麗日ちゃんも機動力高いもんね。浮かせれるアドバンテージは高いよね。」

こういうときに、シンプルな力は強いよね。いいなぁ。と思っていると、私たちの番が来たようで、スタートラインにつく。上にも下にもいけないのならば、どうするかを考える。建物破壊は辞めようと注意をうけたので、何がいいかな。と打開策をいろいろ考える。自分は置けないこの”個性”がちょっと悲しいけれど、機動力なぁ。

「たぶん、私は下を走る方が性に合ってるんだろうなぁ」

画面を見れば、緑谷が跳ねるように移動しているのが見える。手の骨を粉々にしていた印象はあるが、全身強化、であろうか。しかもこの間まで100%か0%しか使えなさそうな、やつ。つまみもないただただオンオフしかできないスイッチみたいな。でも、この移動方法なんか…はて、爆豪に似てる?ような、気もするが。そっと視界の隅にいた爆豪を見ると、悔しそうな顔をしている。どうやら、ていうかもちろんというか、そういうことを教えている形跡もない。ずるっと落ちる以外は緑谷すごいと思うよ。うん。
ちなみに私は下を走って、組で下から二番目。やっぱ地下を走るべきだったのかもしれない。っていうかこのレースをやって思ったのは、救助のメインの事務所に行かなくてよかったっていうことだけ。


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