034

職業訓練が始まって、一日一回爆豪と手合せ、ほかのヒーローと混ざってトレーニング、ベストジーニストとパトロール。戦闘要請があれば一緒について、避難誘導や回避支援なども行う。悪いな、便利な”個性”なんだ。悪いな爆豪。君の能力は非常に支援に向いてないんだよ。二日ほどたって、ある程度の書類整理を教えてもらい、ひたすらパソコンを借りて入力をしていく。親の手伝いもしたことがあるので、ある程度の入力は慣れている。黙っておくけれどさ。ぼちぼち作業を行う。私と爆豪に別の作業を言いつけて、最後にほどほどにやっておいて、あとでまた見に来る。隣の部屋にはいるから。だけを残して隣の部屋に行ったようだ。

「なぁ。チビ」
「…なにかな?」

チビって言われるのに、イラってしてるけれどここは精神的大人メンタルでやりすごしてやろう。私は大人だからな。そうだぞーさっきも言われてちょっと怒ってるけれど、寛大な心でゆるしてやろうじゃないか。そうだぞー私は大人だぞー。

「お前は、親がヒーローなのにどうして親の事務所に行かなかったんだ?」
「親だけが世界じゃないじゃん。」
「ハぁ?」

親とおんなじ道、進まなきゃダメなことってないよね。爆豪に決められる筋合もないよ。親友度もほぼほぼないのに、どうして爆豪に決められないといけないの?
思ったより声が鋭くなってしまった、どうしようかな、と一瞬悩んでいると携帯がポケットで震えた。連絡アプリの通知を見ると緑谷がクラス全員のいるところで発進したらしい。地図が写っていた。なにだろう?誤操作にしたら、なんかあるのだろうか。

「なんだこれ?」
「…連絡しろってことかな。」

緑谷の体験先ってもっと違うところだったはずだし、どっちかっていうと飯田が言っていたような気がする。なんで、緑谷がここを、この場所を言ったのだろうか。一応連絡を入れておいてもいいのかも知れ…違うな。呼ばなきゃいけないのは警察だ。そうだろう。連絡してくると伝えると、爆豪は勝手にして。デクのことなんざ気にする必要ない。なんてつっぱねる。そうですかそうですか八二坊や。適当に返事を流して携帯を持って席に立つ。怒りで頭が爆発した爆豪を見て、こっそり笑う。今日の飯なんだろうとか考えながら、私は携帯で通報する番号を入れて緑谷から受け取った住所を、虚飾しつつ報告するのだった。ちょっと凶器を持った人が小さな子供を連れて路地に入っていった。とか、そんなかんじ。


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