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ゴールして息を休めてる間に、爆豪からののしられて、轟から見なおしたと言われた。…ののしられるのもちょっとよく解らないんだけれどな。女子から褒められながらも、峰田のセクハラに埋めてやる。
集計が終わって、ちょっと。マジかよ。って思うんだけれど。スタジアムの液晶のにランキングが張り出されている。そこの一位に出てるのは紛れもなく私の名前で。携帯でこっそり掲示板を撮っておく。帰ったらお父さんに褒めてもらおうっと。あとで、昔のクラスメイトに送ってやろうと思う。って思ってた五分前。私は、一人なぜか騎馬戦に出てます。いや、まって。騎馬戦ってなんだったっけ??

「一位の沖方がおもいっきり”個性”が強すぎるから、持ちポイント千五百万分割鉢巻三百本で一人って。待ってほしいんだけれど。ほんとうにこれ、一位の処遇なの?急に決めてない?ミッドナイト。頭にそんなにつけれないよ?首死ぬよ?」
「ドンマイですわ。私も負けませんよ」
「籤運の悪さこんなところまで出てるの…?ねぇ、百。泣いていいかな」
「もう始まるのであとでなら、いくらでも聞きますわ。」
「ですよねー…」
「沖方、負けないからな」
「轟、きみは勝ってるよ。主にメンタル部分でね。」

ちょっとそのメンタルわけてほしいかもしれない。チーム決めの15分間、ぼっちで一人だからってやることないし、あんまりすぎるよぉおお。ちょっと…籤運が悪いのは解ってるけれど、なんだかなぁ。むしろ、一人だから、好き勝手できるっちゃできるんだけれどさ。騎馬の意味だれか辞書で引いてほしいまである。一人ぐすぐす半分涙目で騎馬づくりの15分を過ごした。いや、ほんと悲しいんだけれど。なになのPLUS ULTRAって。さらに向こうって。死守するだけじゃん。そうだね。持ってる点数なんてないんだから、もう上だよね。そうだね。しってるよぉおお。っていうか、鉢巻多すぎて視界確保できないんだけれど、もう、マイナスだよね。

「よぉし。組み終わったな!!!準備はいいかなんて聞かねえぞ!行くぜ!!残虐バトルロワイヤルカウントダウン!!!」

スタートの号令と共に周りが動き出す。緑谷チームと二チーム。残り全部が私のところっておかしくない!?まって、一方的な略奪反対だってば!!とか思いながら、首からある程度の視界が確保できる鉢巻を取り外して空に投げる。
予想外の動きだったのか周りの騎馬たちが止まる。その間に交換するように止まった奴の鉢巻を奪って、自分の首に置き換える。そうだよ交換だよ。一方的な、な!いいだろ、一本五万ポイントだよ。一本でバランスブレイカ―だってば。いいよ、視界に入った分である程度やり取りするもん!!っていうか、視界取られえて見えにくいっての。

「よし、視界確保。」

ポイントとって、紛らわせる作戦って言っておこうか。土を動かして壁を作ったり、足場崩して無理やり慌てさせた隙に、渡した鉢巻を奪い返しているさなかに、爆豪とどっかの騎馬が睨み合っているのが視界に見えた。相変わらずだなぁ、とも思いつつ。視界を前に戻すと、零ポイントチームが団結して目の前に立っていた。

「うっわー。超不利かも。」
「佳英ちゃん、覚悟してね」

障子の隙間から飛び出てくる舌を、捌きながら、葉隠チームを処理しつつこっそり鉢巻を交換して、奪った!っておもったら自分のチームでした!みたいな戦法をとりつつその隙に自分のものを取り返すようなやり取りを残り時間ひったすら繰り返すのだった。多対一の戦闘訓練みたいなかんじが頭によぎりながらも、なんとか自分のポイントを半分ほど減らしたが、それをも取り返し、ちゃっかり自分じゃないところのポイントを奪いながらもよくよく自分でも計算がわからなくなってきた。
最後のほうに、私のところに来るか緑谷チームのを奪うのか迷ってた爆豪の声が響いてたけれど、それよりも捌くのに時間がとられる。配置は、ヒットアンドランの逃げ切り型なので、防戦一方で、かろうじてタイムアップで逃げ切り、かろうじて上位五位にランクイン。頭のほうで投げたのが間違いだった。ほかを底上げする結果になってるのだから。


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