015
退院して翌日、クラスに入ると、大丈夫かー?とあちらこちらから入る。緑屋がもじもじと何か言いたそうだったので聞くと、元気そうでよかった!といってくれる。ありがとう、と返事をしているとおめえやっぱすげーとか切島が寄ってくる、ちょっと黙ってろ、とか言いつつ自分の席に座る。前の席の百が振り返って、ご加減は?と聞くので、んーまぁ大丈夫だよ。とへらりと返す。
鞄をおろして、授業の準備をしていると、視線を感じて視線を上げると百がこちらをじっと見つめていた。

「ん?どうしたの?」
「佳英さん。変わられました?」
「いんや、ちょっとだけ、変えるような出来事があっただけだよ。そうそう。昨日のノート貸して」
「そうですわね。ちょっと待ってくださいな」

あれやこれやと近くの子たちと話していると、すっと相澤が教室に現れた。飯田が、挙手しながら先生無事だったのですね!!とかいうけれど、知ってるか飯田、私のほうが重傷だった。という事実を。

「俺の安否はどうでもいい、なにより戦いは終わってねぇ」

相澤の言葉に、前列のほうがつまり、緑谷たちがちょっと騒いでる。カレンダーを見て、あーそろそろかと思い出した瞬間に、雄英体育祭が迫っている。と聴覚に届く。「クソ学校っぽいの来たあああ!!」とクラスがわいてる。めんどくさーとか一瞬思ってしまったがいかんいかん。二年前も出れなかったんだし、恥ずかしいがちょっと楽しみにしてる節はある。いや、テレビでるじゃん。スカウトされるじゃん、人生バラ色とかなるかもしれないじゃん。とか一瞬によぎったけれど、これはいい放置だ。心は多少入れ替えてでもおかないと、ねぇ。
でも、体育祭前に事件に巻き込まれたので、まぁ、体育祭まえでよかったね。って今更思うよ。ダブりとか思われるの嫌じゃん。スカウト減っちゃうじゃん。って思うよね。
相澤の話をぼんやりと聞きながら、お昼何食べようとか思いながら時間を過ごすのであった。セメントスの現代文が終わると同時に、クラス中が沸いている。元気だなー二年時間が止まって事実上同い年の君たちとお姉さんテンションついてけないよーとか思っていると、百から食堂いきますわよ。と促されて席を立った瞬間に、相澤から校内放送で3分以内に来いとか言われた。待てよ。おい。3分はきつい。機動力に勝る”個性”はないんだから、おいこらと呪詛を垂れ流しながらも、百たちにあとで行くと答えて、私は職員室に全力ダッシュ。指導の先生に走るなとか言われたが、呼ばれてるんで―!とか適当にこたえつつ、職員室に急ぐ。

「沖方はいりまーす。」
「来たか。指導室行くぞ」
「げっ」
「それだけ。込み入った話だ察せ。」

察せるかっての。とぶつくさ文句をたれながら、相澤の後ろにつきながら廊下を歩くのだった。合理的人間よ、呼び出すなら先にそっちにしてくれ。


/back/

×