落としてみせます(綾食満)


※綾部→食満
伊作→食満要素あり。伊作がかなりカッコ悪いことになってますので、そんな彼が嫌な方はご注意ください。



「おい、こら、穴堀小僧!」
「おやまぁ、食満先輩。」
学園内で穴堀小僧の異名を持つ綾部がいつものように蛸壺を掘っていると、自分を呼ぶ声がした。声の方を見上げると学園一の武闘派で用具委員会委員長の食満が不機嫌そうな顔をしている。
「またこんな所に穴堀りやがって。掘るならもう少し人の迷惑にならない所に掘りやがれ!ほら、埋めるから早く出ろ。」
「えー。せっかくいい感じに掘れてたのに…。」
「“えー”じゃねぇ。お前ここのすぐ傍にも穴掘っただろ。さっきその穴に保健委員の奴が落ちたんだよ。また誰かが落ちたら困るから、ほら早く。」
「…仕方ないですね。」
せっかく途中まで掘っていた蛸壺を埋めると言われて綾部は不服だったが、従わないと食満は無理矢理にでも綾部を蛸壺から出させるので、差し出された食満の手を仕方なく掴んだ。

「食満先輩ー。」
「こら、綾部抱き着くな。」
「うー。」
「ちょ、お前、俺の制服で顔を拭くな。」
食満に引き上げられる形で蛸壺から出た綾部は食満に抱き付き、土で汚れた顔を食満の胸にうずめ、服に擦り付けた。
「蛸壺を掘るのを中断されたお返しです。」
「お前、いい度胸してんな。」
「えへへ、褒めても何も出ませんよー。」
「褒めてねぇよ!ったく…、何でお前は毎度毎度、穴をむやみやたらに掘るなって言ってんのに掘るんだよ。」
食満は綾部の言葉に怒りを通り越して呆れた。更に綾部はあっけらかんと答える。
「それは、穴を掘るのが好きだからに決まってるじゃないですか。それに…。」
「それに?」
綾部は“それに”と思わせ振りに続けた。そして、いつになく真面目な表情で口を開く。
「こうでもしないと貴方の気を引く事が出来ないじゃないですか。」
「えっ…。」
「貴方の気を引きたかったんです。」
「それって…。」
綾部の言葉を聞いて食満の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
「私は貴方のことがすっ「きーはーちーろー!」
「いっ、伊作!?」
「おやまぁ伊作先輩、ごきげんよう。チッ。(いいところだったのに…。)」
綾部の核心の言葉を遮るように不運大魔王こと善法寺伊作が現れた。伊作は物凄い怒っているようだ。綾部は肝心の台詞が言えなかったので、思わずイラっとして舌打ちをしてしまった。
「“チッ”って何!?て言うか、なんで留さんにくっついてんの!?さぁ、さっさと離れて離れ…ぎゃァァァァア!」
怒りのあまり足元を見ていなかった伊作はさっきまで綾部が掘っていた蛸壺に落ちてしまった。さすがは不運大魔王。
「何やってんだ伊作!お前馬鹿か!!」
「留さーん!助けてー!!」
「ったく、しょうがねぇな。綾部、ちょっと離れろ。」
助けを求める伊作を助けるために、食満は綾部に離れるように促す。
「仕方ないですね…。そーれ。」
「!!!?。何すんだ綾部!?うあァァァァア!!」
綾部は素直に離れるのかと思いきや、食満を伊作が落ちた穴に突き落とした。
「おぅふ!」
「痛っ!おい、大丈夫か伊作!?って、気絶してる…。」
突き落とされた食満の下敷きになった伊作は気絶してしまった。どこまでも不運。
「こら綾部、何しやがる!?」
「なんかむしゃくしゃしたので、思わず。」
「なんだそれ!」
綾部は食満の抗議にむくれながら答える。食満の気を引く為に掘った穴に落ちた伊作に、食満の気が向いているのがとにかく気に入らないのだ。
「食満先輩。今度は蛸壺じゃなくて、先輩を恋に落としてみせますので、よろしくお願いしまーす。」
「えっ…。」
「じゃあ先輩、また。ごきげんよう。」
「ちょっ、おい、綾部!?」
動揺する食満を置いて綾部は帰って行く。食満はあまりの出来事に固まってしまった。
しばらくして落ち着いてから、綾部の先輩を恋に落としてみせます宣言を思い出し、食満は顔を真っ赤にして呟いた。
「後輩が生意気言ってんじゃねぇよ…///」



.。:+*゜*+:・。:+*゜*+:。.
伊作の扱いに関しては本当に謝ります。ごめんなさい。
食満先輩を色んな意味で落としたい綾部を書こうとしたら、こうなりました。でも、菖的には綾食満ってこんな感じだと思います。

(2012.07.12)

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