こんなに好きなのに(きり久)


※きり丸→久作で成長。
きり丸が四年、久作が五年くらい。




最近のきり丸の自分に対する行動や言動は久作を悩ませた。
きり丸は久作の事を好いているらしい。
一度、学園内で顔を合わせれば、場所も考えずに、すぐ好きだとか可愛いだとか言い、とても恥ずかしい。また、委員会で当番が一緒になるときり丸は久作の事をじっと見つめているだけでろくに仕事をしない。
何故きり丸は自分を好きなのか、何故そんな事をし、そんな事を言うのか、久作には全く理解出来なかった。
そして今、まさにそんな状況だ。あぁ、もういっそのこと、自分ときり丸が当番の日をなくしてしまおうか。
「…きり丸。」
「なんスか?久作先輩。」
「顔が近い。」
「そんな事ないっスよ。」
久作はずっと見つめられるのに耐えきれず、きり丸に言う。しかし、きり丸は見つめるのをやめるつもりはないらしい。
「そんな事ある。いつもいつも俺の顔ばっか眺めやがって!!て言うか、一体何が楽しいって言うんだ!?飽きないのか!?」
「楽しいし、飽きません。だって、久作先輩可愛いから。」
久作は声を荒げて訴えたのだが、きり丸はあっけらかんと答える。可愛いと言われて久作は思わず恥ずかしくなって顔が真っ赤になってしまった。
「…可愛くない!」
「可愛いっスよ。くりっとして丸い大きい目とか、ぷくっとした唇とか、僕に可愛いって言われて真っ赤になった頬と耳とか。」
「…う、煩いっ!」
「好きっスよ。先輩。」
きり丸は久作に愛の言葉を囁くと、久作を後ろから抱き締めた。
「なっ…!!離せ!」
「嫌だ。」
「“嫌だ”じゃない…!」
「ねぇ、先輩。僕はこんなに先輩の事が好きなのに、先輩は僕の事好きじゃないんですか?」
抱き締められて抵抗する久作に、きり丸は久作が今までに聞いた事がないくらい哀しそうな声で聞く。久作は驚き、きり丸は冗談やからかいではなく本気で自分の事が好きなのだとようやく気付く。そして、久作は少し考えてから口を開く。
「……嫌いじゃない、好きだよ。ただ、お前の好きと同じじゃないんだ。」
「どうすれば、僕と同じ好きになってくれますか…?」
久作は本心を素直に伝えた。それを聞いて、きり丸は蚊の鳴くような小さな声で久作に聞く。二人とも今にも泣きそうな顔だった。
「わからない。ただ、今はお前の事をそういうふうには見れないんだ。お前は俺にとって大事な後輩なんだよ。」
「…それじゃ嫌だ。こんな…こんなに好きなのに。」
きり丸は久作の言葉を聞いてとうとう泣き出してしまった。久作はこんなにも自分の事を好きと言ってくれているきり丸の想いに応えてやれない事がとても申し訳なかった。
「ごめんな、きり丸。」
「じゃあ…いつか…いつか、久作先輩が俺と同じ好きになってくれるまで、諦めないっスから。」
「うん。」
久作は頷くときり丸の頭を優しく撫でた。



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なんだか、思ったよりも切なくなってしまった…!!
きり丸ごめん。

(2012.05.01)

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