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「篠岡はっ!?」
裸足で砂の上を歩くのは辛い。
少し息を切らせながら沖、栄口、西広の元へとたどり着く。
3人は砂浜でかなりクオリティの高い山を作っていた。

「あー、さっき水谷と2人でかき氷買いに行ったよ。」
「どっちらへん行った!?」
「あそこの海の家目指してった。」
「サンキュ!」
「頑張ってね〜」
「おー」

「良かったのかな、水谷と2人とか言って…」
「あ、」
「泉の顔、一瞬こわばってたよな…」
「…水谷、ご愁傷様。」





「お、泉。」
海の家を目指し走っていると巣山と阿部と花井に遭遇した。
「巣山、篠岡と水谷見なかった!?」
「え、見たっけ?」
「あー、水谷なら見たよな。」
「クソレな。」
「あー、そういやトイレの前に並んでたっけ?」
「1人で!?」
「そりゃ篠岡は一緒に並ばないだろ…」
「そりゃそうか。サンキュ!」
「おー。」

「ありゃ水谷殺されんな。」
「俺もそう思った」
「え!?そうか?」
「花井は温いよ。」
「ブラック巣山!?」
「クソレ良い気味だな。」
「てか阿部、水谷に対して酷くね!?」
「そうか?」





水谷が1人ってことは、篠岡も1人ってことだ。
その事実が泉を焦らせる。
あれだけ1人にはなるなって言ったのに。
泉の足は前へ前へと、どんどんスピードが速くなっていく。
砂の熱さも感じなくなっていた。

「あれ、泉もかき氷?」
横から間抜けな声が聞こえた。
想像通りに水谷がいた。
「ちげぇ、それよりお前…篠岡は?」
「え?ここで待ってるって言ってたんだけど…」
「てめ、」
「あ、あれ!」
「は?」
水谷が指差したのは海の家のテラスの辺り。
見覚えのあるオレンジに近い髪。
篠岡がいた。
3人の男に囲まれて。
「うわー!あれ篠岡ヤバいんじゃないの!?」
「…だから言ったのに。」





「千代!」
「え?」
ビビってる水谷は皆の所に帰らせて、篠岡に近づく。
「お?彼氏クン登場!」
「良かったねー!」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃあねー!」
「彼氏クン彼女大切にしてあげろよー!」
「水着の話!勘違いしちゃってるからねー!」
「は、はい!」
俺にアドバイスまでくれたその人達に一礼をして意外にもあっさりとした別れをした。
ナンパじゃない…のか?





「ごめん、1人にしちゃって。」
「いや、わたしもごめんね。」
「さっきのやつらは?」
「どうしたの?って話し掛けられて…」
「やっぱりナンパ…」
「でも…泉君の話をしだしたら、凄い真剣に聞いてくれたの。」
篠岡は下を向きながら少し赤くなった。
「それでさっき…、水着のこと。」
「うん…」
「篠岡勘違いしてるけどさ、あれは違うから。」
「え?」
「俺が見たくないんじゃなくて、他の奴らに見せたくないの。」
「えっと…?」
「むしろ俺はずっと見てたい。」
「いいい…泉くん!?」
「だからちょっとだけ2人きりになろうか?そのあと皆で遊ぼうぜ。」
「うん!」





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