「海行こうぜ!」
そう言い出したのは、言わなくても分かるだろうが…田島だった。
練習で埋まった夏休みの貴重なオフに入り込もうとしている突発的なその意見に、西浦野球部は誰1人反対しなかった。
「うわー!楽しそうだね!」
おにぎりを配りながら俺達の話を聞いていた篠岡が、ニコニコと“楽しんで来てねオーラ”を出している。
そのオーラに対して、
「何言ってんの、篠岡も行くんだよ?」
そう声を合わせて言った部員の中で俺は唯一反対意見を持っただろう。
まぁ持っても言えないんだけど。
―そんなこんなで、篠岡と西浦野球部、総勢11名で海に行くことになりました。
「…水着、何着てくの。」
「この前買ったやつだよ?」
「…だよな。」
帰り道、俺の彼女は海に誘われた事と行ける事が嬉しいらしく鼻歌なんか歌いながらニコニコしている。
こいつは俺の気持ちとか分かってないんだろうな。
1000歩譲って西浦野球部に千代の水着を見られるのは良しとしよう、仕方ない。
だけど!知らない奴らに見られるのは何か嫌なんだよなぁ…。
てかこの前デートでプールに行った時にすげぇそう感じた。こんな事になるなら千代が水着選んでた時に、もうちょっと露出低いの選べば良かったのか…
いやいやあれが1番似合ってたし!
事実めっちゃ可愛いし!
…って何を考えてんだ、俺は!
「他に何か水着無いの?」
「中学の時のスクール水着しか…」
「それもまずい。」
2につづきます。