なると | ナノ


「シカマル見て見て!」
シカマルの部屋でベッドに寝転がっていた私は、読んでいた雑誌を見せ付けた。

「可愛くない?この花柄のスカート!」
くるりと座っているキャスターの付いた椅子を此方に向く様に回転させ、シカマルは目を細めた。

「は…どれ?見えね…」
「これ。」
身体をベッドから起こし、持っていた雑誌をずい、とシカマルに押し付けた。
はい、ノーコメント。どうしようかな、スカート。春物が欲しかったんだけど、また今度考えよう。

そんなことより!





[故意に盲目]





そんなことより!

「視力落ちたの?」
こっちの方が重要なのだ。

「なんか最近な…」
「暗い所で本読んでるんじゃないの?」
「さぁ…」
「もう…」

「これ、見える?」
私は立ち上がって3歩程下がって指でCの形を作ってみた。視力検査の真似、さて隙間はどちら向きでしょうか!?

「ぼんやりとしか見えねぇ…」
あらあらそれは重症ですね、ではもう少し簡単なのを。そう思ったりしながら私はシカマルに1歩近付いた。

「ここは?」
「見えねぇ…」
「えー、じゃあここは?」
「まだ、見えね…」

「もしかして私の顔も見えてないの!?」
「見えてねぇかも…」
「かもって何よ!ねぇ、見える!?」

そう言いながら私は机に手を置いてシカマルの顔の前でひらひらと手を振った。
「…?」
「嘘でしょー、ここは?」
ずいずいと近付くが、シカマルの周りには?マークがいっぱい。

「眼鏡買ったら?」
「…似合わねぇよ」
「コンタクトとか…」
「めんどくせー」
一歩、また一歩と私はシカマルに近付いて行く。
「じゃあ、あれは?何とか手術…」
「あー」
歩けなくなった頃には顔だけを近付けた。
「ねぇ本当に見えてないの!?」
「…」
「ねぇって、…んん!?」

どんどん近付いて行く内に私とシカマルの距離は無くなっていて、今は唇が触れていた。

その距離を離れたシカマルは、
「睫毛付いてんぞ。」
と言って笑いながら私の目の下を脱ぐった。

「嘘つき…、見えてるじゃない。」
騙された私はそう怒ってみせながら、またキスをねだった。





━End━
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