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「・・ところで、聞きたいことがあるんだけど」
てきぱきと書類を片付けながら、カグラは誰にともなく話しかけた。
「子兎だと思っていたら実は子猫だった場合どうしたらいいと思う?」
にこにこと笑みを浮かべながらそう問いたカグラに、その場に居た者は皆一様にカグラと眼を合わせてはいけないと今までの経験から思った。
「・・ひどいな。なんで皆眼を反らすのかな・・・。そうは思わないかい、ジゼルさん」
ソファーの上で珈琲を飲んでいたバルトルは突然の問いかけにゲホゲホと噎せていた。
「・・けほっ・・・突然話しかけんじゃねえよ、まったく。第一なんで俺に聞くんだよ」
不満げにそう零したバルトルを一瞥したカグラは、当たり前だというように「だってあなたが一番暇そうだったので」と返した。
「暇じゃねえよ。俺はお前に話すことがあって来たんだ。なのにお前はどっか行ってるし、そのせいで仕事溜まってるしで、俺はお前を待ってるんだよ」
バルトルはその精悍な顔を歪めながら怒鳴った。
彼の言っていることはもちろん事実であり、本来諜報部の青薔薇の館に所属している彼がこの黒薔薇の館に訪れていることからも伺えた。
「ジゼルさんは相変わらず気が短いですね。・・そういう事でしたら先にお話を伺いますよ。てっきり私に会いたくなっ「んなわけあるかっ!!」・・人の言葉遮らないで下さいよ・・・」
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