それは俺達が入院してから1ヶ月が立った頃…
「みんなも、そろそろリハビリをし始めたらどうかしら?」
と言う看護師さんの一言で、俺達はリハビリを始める事にした。
「リハビリがてらサッカーでもしようぜ。」
とまあ、サッカーをし始めたのだが………
「あっ、ボールが……」
「パスの位置がずれてる!」
「思い通りに出来ない……」
と、あまりうまくいかなかった。
「こういうのをブランコって言うのかな……」
「ブランクだろ。あと、微妙に意味違くないか?」
「分かりません」
「分からずに使ったんかい」
皆、サッカーが思うように出来ず、落ち込んでいた。
だが、それを軽いジョークで笑い飛ばして気を紛らわしていた。
「でも、この入院のお陰で俺、強くなれました!」
「そうなのか?」
「はい!だって、霊柩車を見かけても親指隠さなくなりましたもん!」
「…………………」
「…………………」
「あのな、宍戸。何で霊柩車を見かけたら親指を隠すか知ってるか?」
「え?自分も連れていかれるからじゃないんですか?」
「………はぁ、親の死に目に立ち会えなくなるからだよ。」
「成る程………」
「ねぇ、霊柩車をネタに使っていいの?」
「……………」
「……………」
「……………」
とまあこんな話をしていた。
でも、誰だってこんな話でいつまでも気力を保ってられる訳ないよな。
大好きなサッカーがうまく出来ないんだ、ショックも大きい筈だ。
そこで、アイツが来たんだ。
剣崎………
思うようにサッカーが出来ない俺達にとって、あの石は魅力的だった。
皆あの石に取り憑かれた。
最後まで反対していた染岡もな。
あの石を使ったら、皆今まで以上の力を発揮できた。
だから益々俺達はあの石に取り憑かれた………
そして今、俺達は1人一台支給されたヘリに乗っている。
皆、早く円堂達と戦いたくてウズウズしている。
恐らく、円堂は拒むだろう。
でも、アイツらは俺達と戦わなければならない。
なぜなら、アイツらを潰す事が俺達の"使命"だからだーーー
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