「え………………」



衝撃的な光景を見てしまった。

いや、正確には聞いてしまった。







「昨日はお食事を奢って下さりありがとうございました。」
「別に、気にすんな。……たまにはいいだろ。」
「はい。あ、あの…また、ご一緒してもいいでしょうか。」
「ああ、また今度な。」
「楽しみにしてますね。」



そこには普段の私には決して向けない笑顔を浮かべた彼がいた。





「ニールも、あんな顔……するんだ。」






けさ、鶏が金の卵を産んだ。
嬉しくて、ニールに言いたかった。


ニールはいつもそっけない態度を取る。


でもそれはきっと強がってるからだ、なんて私は勝手に解釈してた。


何だかんだ言って、内心は嫌がってないなんて……


なのに………


ようやく見つけた彼は……


「ニールさんとお喋りしながらご飯食べて、楽しかったです。」
「そうか?…んな事言われたのは初めてだ…」

「うふふっ。  あ、そうだ。
今度、ニールさんの家にお邪魔してもいいですか?」
「来るなら事前に言ってくれ。
……掃除、しとくから。」
「はい。」


会話の内容から察するに、昨日は2人でご飯を食べたらしい。


私がご飯中に訪れたらいつも「帰れ」の一点張り。


食事に誘っても一度も了承を得た事がない。


それなのに………

それなのに…….!!





不意に、体の奥から黒く渦巻く感情が湧き上がって来た。



何で?
何で私じゃダメなの?
何でフェリシアはいいの?


私はただ黙ってうつむいた。




不意に手から卵が滑り落ちた。


「あっ………」


くしゃっ


硬い地面に、乾いた音を立て卵が崩れた。



その音に2人がこちらを向く。



「あら、リオさんじゃ無いですか。どうしたんですか?」
「なっ…….な、なんでお前がいるんだよ!?」
「えっ……そ、それは…」



"なんでお前がいるんだよ!?"


その言葉が胸に刺さった。


ニールは、私の事が、嫌いなんだね。

私は、こんなにも……

こんなにも、貴女が好きなのにね……





「今日ね…鶏が金の卵を産んだんだ。

だから、ニールに見せたかったんだ…」


「……….….……」


「ニール……ニールはさ、私の事嫌いなんだね…

フェリシアとは楽しそうにしてるのに……

私と話す時なんかそっけないもんね。

食事に誘ってもいっつも断るのに、フェリシアとは行くんだね…



毎日会いに行ってるからもう少し好かれてると思ったのにな…」


「リオさん……」


「もう会いにいかないから……


ごめんね、毎日来てうざかったんだね……


私、強がってあんな事言ってると思ってた。


あはは……自惚れてたんだね、私……」



視界が霞んできた。
言葉が詰まる。


「っもう……会わないようにするから……ごめん、ね…」



そのまま背中を向けて走った。

涙を拭く余裕なんて今の私にはなかった。











「馬鹿……本当に馬鹿だなぁ、私……………」


涙は枯れてもいい頃なのに。

枯れるどころか、溢れて止まらない。



私って、こんなにもニールの事が、好きだったんだね……






涙でぼやける視界の中、山中をひたすら歩いた。


諦めないと。
終わらせないと。


きっと、この恋は叶わないんだから…





「きゃっ……!」

前方の川に気づかず、そのまま川に落ちてしまった。



水の冷たさが霞んだ視界と頭をスッキリさせた。



「頭がスッキリした。たまには川に落ちるのもありだな。」

と、納得していたら

「いい訳無いだろ、バカかお前は。
ほら、早く上がれよ、風邪引くぞ。」


そう言って手を差し伸べられた。


「ごめんごめん、ありがとうニール。」



私は差し出された手を握り、川から上がった。



そしてお礼を言ったところで思考がフリーズした。


え、ニール?



「ニール……なんでここが…」

「お前に言いたい事があったから追いかけて来たんだよ。」



言いたい事?

はっきり嫌いって言いたいのかな

それとも……




「まず一つ。

勘違いはほどほどにしろ。」
「え?」

ニールは顔をしかめて叫んだ。

「だから!
俺はお前の事嫌ってねーよ!むしろお前の事が……」


「え?嫌ってないの?


……良かった、本当に良かったよ……」



嫌ってない。

その一言が、嬉しかった。



「リオ、その………ごめん。
俺、こんなだからお前の事傷つけてばっかりだな……」

「ニール…」

「本当はさ……嫌なんかじゃないんだ。
ただ、今まで俺なんかに構って来る奴居なかったから……
どうしたらいいか、わかんなくてさ。」

「…………」

「お前の事酷く傷つけて…本当にごめん。」

「いいよ、ニール。
そうやって言って貰えて嬉しいよ、ありがとう。」


しばらくの沈黙のあと、ニールは小さくよし、と言って顔を上げた。



「リオ。あのさ……大事な話があるんだ。
ついて来てくれないか。」


「え? うん……」


そう言ってニールは山頂まで歩いて行った。





「……………………。」


「あの……何か、私の顔についてる?」



「ああ、ワリィ。ついガン見しちまった。」


「が、ガン見……!?やっぱり私の顔に何か」

「ついてねーよ!!はぁ……



………あのよぉ、リオ。
お前今、気になってるヤツとか付き合いたいヤツって、いるのか?」



あなたです、なんて言えたらなぁ。



だが、次の彼の言葉に私は驚愕した。




「…も、もし、いないならよぉ。オレが代わりになってやろうか?」


代わり!?
それは、つまり……




KO☆KU☆HA☆KUですね!?


って…………


「ええええええええええええ!!?」



こっここここっ、告白!?



夢か!?これは夢なのか!?


バキッ

「ぐはぁ痛い!夢じゃ無い!」
「Σ鼻血でてるぞ!?」



夢じゃないんだ………

私、今、本当に告白されてる…

しかも……大好きな……



「なって下さいってかならせて下さい!」


「…そ、そうか。
それなら……オレたち、つ、付き合う、か…。」



ニールは照れたように頬を掻いた。



私の顔と思考から暗いものは完全に吹き飛んだ。


「……………うん!」



私はニールに抱きついた。


「ずーっと、好きだったんだよ、ニールの事。」

「……俺もだよ、ばーか。」


ニールは私の頭をくしゃくしゃと撫でた。







*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

はぁ、長くなった。

もっとシリアスにするつもりだったのに。


セーブデータ3つにして欲しいな

ニール枠が足りないよ

私のセーブデータはロッドとアレンで埋まってるよ!!

ニールは告白は見たがセーブしてない!!
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