所変わって、外へとやって来た私達。カカシ先生は、教室に入って来た時から相も変わらずなんともやる気のないような顔をしている。顔はほとんど見えないし、想像していたよりも随分胡散臭いなこの人。なんて印象を抱いたのは内緒だ。


「そうだな…まずは自己紹介してもらおう」
「どんなこと言えばいいの?」
「…そりゃあ好きなもの嫌いなもの…将来の夢とか…ま!そんなのだ」
「あのさ!あのさ!それより先に先生、自分のこと紹介してくれよ!」
「そうね…見た目ちょっとあやしいし」
「あ……オレか?オレは『はたけ・カカシ』って名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!将来の夢…って言われてもなぁ…ま!趣味は色々だ…」


怠そうに自己紹介してくれたカカシ先生だが、結局わかったのは名前だけだ。四人で怪しげに目を合わせるが、カカシ先生は気にせず言葉を続ける。


「じゃ次はお前らだ。右から順に」
「オレさ!オレさ!名前はうずまきナルト!好きなものはカップラーメン。もっと好きなものはイルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!!嫌いなものはお湯を入れてからの三分間」


おお、同感だよナルト。たった三分なのにお湯を入れてからの三分は恐ろしく長く感じるよね。


「将来の夢はァ、火影を超す!ンでもって里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!!」


そう言い切ったナルトの瞳は、何処までも真っ直ぐだ。こんなにも夢をきらきらと語る人がいるとは。まるで太陽のような子だと思う。眩しくて、無条件に応援してあげたくなるような、やれちゃうんじゃね?なんて良い意味で笑って言えちゃいそうになる、そんな。詳しくは知らないが、両親はおらず幼い頃からずっと一人でだと聞いている。そして九尾の人柱力だとは、トリップ前の記憶として知っている。ぐれても良さそうなのに、真っ直ぐ過ぎるくらいだ。


「趣味は、イタズラかな」


そして次に自己紹介するであろう、相変わらずスカしているうちはサスケに目をやる。サスケについてもナルト同様、多少は知っている。一族が滅び、生き残ったのはサスケただ一人。そしてそれを行ったのは、実の兄であるうちはイタチなのだと。これは、忘れないようにと書いておいたメモに記してあったので、情報を得ることができた。うちはイタチに関しては、一族を滅ぼしたということしか分からないが、サスケがイタチに対し憎しみを抱いているのは間違いない。実の兄だとしても、両親や一族を皆殺しなど許されたものではないし許せないだろうから。


「次!」
「名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが、好きなものは別にない。それから…夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!」
「……」

「一族の復興と、ある男を必ず… 殺すことだ 」


静かに放たれた言葉だが、その言葉の意味は重い。胸の辺りがズンと重くなったのを感じる。イタチを殺すこと、所謂復讐をサスケは心に決めている。世間一般では、復讐なんて虚しいだけなんて言うのかもしれないが、サスケからすればそんなものは所詮、痛みを知らない者の綺麗事だと思うのだと思う。私も復讐は虚しいものと思うが、それをサスケに言うつもりも権利もない。私にも今家族はいないが、家族に関する記憶は一切残ってはいない。メモには、『家族、友人共に元気』とだけ書かれていた。名前とか家族構成くらい書いとけよ自分なんて思ったが、書いてあったところで顔すら思い出せず、実感も湧かないだろう。変に虚しくならないようそうしたのかとも思う。だから私はサスケの、家族を失った痛みというものは分からない。絶対辛いから、分かりたくないけれど。


「よし。…じゃあ次女の子」
「私は春野サクラ。好きなものはぁ…ってゆーかあ、好きな人は…えーとぉ…」


チラチラとサスケを熱い眼差しで見るサクラを見ていたら、ずーんと重かった胸が少し軽くなった気がした。サスケが殺す宣言をしていた時はキャーなんて言って余計に興奮していたようだし、サクラはサスケだったら鼻水垂らしていてもカッコイイと言うんじゃなかろうか。


「…将来の夢も言っちゃおうかなぁ…(チラチラ)キャーー!」


将来の夢はサスケ君のお嫁さん。なんて言い出しそうだ。うん絶対当たってるよね。恋する乙女モード炸裂だ…!


「嫌いなものはナルトです」
「ガーン」
「ぶっ!どんまいナルト」


ナルトには悪いが思わず吹き出してしまった。そういえば、サクラがナルトの心を打ち砕くのを見るのは今日だけでも結構な数だ。……ファイトだナルト。


「じゃあ最後」
「私は煌咲シオンです。好きなものは、うーん…食べ物全般はなんでも好きです。嫌いなものは…そりゃあ一つや二つや八つはあるはずですが今は…、思いつきません」
「いきなり八つ!?」
「夢は…探し物があるので、それを見つけることです」
「その探し物って?」
「それは秘密かな」
「探し物ね……ま、いいか。よし!自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」
「はっどんな任務でありますか!?」


見るからにワクワクしているナルト同様、私も内心うずうずしている。だって折角忍になったんだから、少しは忍らしくカッコよく素敵になんか色々とこなしてみたい。下忍なら決して難しい任務はないだろうし。


「まずはこの五人だけであることをやる」
「なに?なに?」
「サバイバル演習だ」






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