よし、腹を括ろう。今決めた。いつまでもうじうじしてたって仕方ない。こうなってしまったんだから逆にこの状況を利用してやるくらいの勢いだよもう。残念でしたねこんなことじゃあ私はくじけませんよ。明日のお天道様を拝めるように『命大事に』をコマンドで設定した後やってやりますよこんちくしょーめ。にしても、まだ来ないのか畑カカシは。暇だしどうせなら、ということでせっかくだから親睦を深める為にも誰かに話し掛けてみることにする。サクラは、サスケを眺めることに忙しそうだ。そんなサクラが見つめているサスケは、相変わらず難しい顔でフレンドリーに話をしようなんて雰囲気ではない。残るナルトはというと、一人でうろうろしている。何とも落ち着きのないというか元気が有り余っているんだね!さてさて、何の話を振ってみようか。と思っていればナルトから話し掛けてくれた。


「あのさあのさ、シオンちゃん」
「ん?何?」
「シオンちゃんはさ、団子好き?」
「…団子?」
「うん」


ちらちらとこちらの顔を窺いながら言うナルトは何とも可愛らしい。しかしいきなり団子、だと…?


「うん。好きだよ?」
「ふ、ふぅーん!そっか」
「でもいきなり何故団子?」
「な、何でもないってばよ!何となくってやつ!」
「ならいいけど…あ、ナルトはラーメン好きなんだよね?よく、今日は一楽!って言ってるの聞くし」
「おう!ラーメンは大好きだってばよ!とくに一楽のは最高に旨いんだ!」
「うんうん分かる!ナルト程じゃないけど私も結構一楽には行くし」
「うおお!シオンちゃんってば分かってる!一楽のラーメンなら毎日食っても飽きねェよな!」


実は密かに一楽に行っていた私でした。だってさ、実際里でかなり人気だし、ナルトは毎日一楽一楽言ってたし、気になるじゃないか。そして一度行ったらかなりハマったというオチなんだけれども。


「あんたねえ、そんな毎日毎日ラーメンばっか食べてるから背が伸びないのよ」
「え、サ、サクラちゃん…」
「それは確かに少し思った。野菜も食べないと身体にも悪いよ?」
「う…だってさ、野菜ってばまずいし……それに身長なら、もう少しすれば成長期が来てぐんぐん伸びるから大丈夫だってばよ!」
「どうだかな」
「んだと!?今に見てろってばよ!今にお前の背なんか追い抜いて、見下してやるからな!」
「夢を見るのは自由だからな」
「ムキィイイ!てんめェエ!」
「こらナルト!サスケくんに突っ掛かるな!」


この班は賑やか過ぎるくらいで、退屈とは程遠くなるのは間違いない。皆個性派だしね。いや、個性派なのはとても素敵だからいいんだ。問題は如何にこの班に属することで降り懸かる危険を回避するかということなんだ。これからの展開を覚えてさえいれば何とか成りそうな気もするが、残念なことにかなり朧げにしか覚えていない。こっちの世界に来たばかりの時は多分覚えていた、はず。でも段々と忘れていったのだと思う。忘れていっていることにすら気付かなくて、こっちに来て三週間程経ったある日、落ち着いたところで記憶を整理してみようと思えば余りの情報量の少なさに愕然とした。朧げに、断片的にしか思い出せなくて、それでも一応は思い出せただけメモはしたのだが。

「ちょっと!何やってんのナルト!!」
「ニシシシ」


サクラの声にナルトへと目をやれば、いつの間にサスケとの口喧嘩が終了したのか、教室の扉に黒板消しを挟んでニヤニヤしている。扉を開けば黒板消しが落ちてくるという至極簡単、かつ幼稚な仕組みの悪戯らしい。


「遅刻して来る奴がわりーんだってばよ!」
「ったくもー私知らないからね!」
「フン、上忍がそんなベタなブービートラップに引っかかるかよ」
「……」


確かに上忍ならこんな悪戯にひっかかるわけないが、担当はあの畑カカシだ。もしかしたらわざとひっかかるかも。なんて考えていれば、教室の扉がガラリと開く。案の定、入って来た人物の上に的中した黒板消し。


「きゃははは!引っかかった!引っかかった!」
「先生ごめんなさい。私は止めたんですがナルト君が…」
「うわあ、」
「……」
「んー…なんて言うのかな。お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!」


ちょ、出会い頭に嫌い宣言とかどういうことだ。






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