(ユウちゃんはふわふわで、柔らかくて、気が強いけど優しくて、目付きが悪いのを気にしてるけどそこも凄く可愛いです。)

そんなことを言われて、化粧をしていた手が止まった。
言った張本人はテーブルを挟んで向かい側でにこにこと笑っている。

「…どうしたん?」
「ユウちゃんはむぞかねって思っただけばい」

にへらと抜けた笑い方をしている彼女は千歳千里という友人だ。
今日は千歳と買い物に行く予定だったのだが、気紛れな彼女らしく待ち合わせ時間の数時間前に待ち合わせ場所ではなく家に現れた。
千歳のことだろうから遅れてくるだろうとのんびりと用意していたところに彼女が来たのだから驚いた。そして今の発言だ。本当に千歳の考えていることはわからない。


「ハァ…自分のがかわええやん。ちゅーか素っぴんでイケるとか羨ましいわ!」
「あはは」
「なんやその笑い!ウチに対する哀れみの笑いか!」
「ううん、白石のために一生懸命なユウちゃんがむぞらしくて」


予想外なことを言われビクッとなってしまう。まさかここで白石の名前が出てくるとは思わなかった。
確かに白石のために可愛くなろうと努力はしている、が、それでも陰口を言う子は多くて。
誰にも言っていないが、先日も上履きを隠されたり、ノートを破られたりされて少しだけ落ち込んでいたのだ。
今日千歳と買い物に行くのもそんなことをされたストレス発散に付き合ってもらうつもりだったのだ。

「…ユウちゃんは化粧しなくてもじゅーぶんむぞらしか。だから、元気出して?」


気付いていたのか、とか、別に気にしてない、とか言いたかったのに言葉が出てこない。
それも千歳には見透かされているのか、微笑みながらそっと頭を撫でられた。
『子供じゃないんだから!』
…頭では手を振り払ってそう言ってやろうと思うのに、結局千歳の手の温もりを甘受してしまう。

「大丈夫、だいじょーぶ」

本当に子供をあやすように優しい言葉と頭の撫でかたで不覚にも目頭が熱くなってくる。

「っ…!もうええよ…。…千歳のおかげで大分楽なったわ」

泣かないように唇を噛み締めてぐっと堪える。そして、今の自分なりに精一杯の笑顔を見せたが、千歳は眉を下げたままだ。
すると千歳が何か思い付いたのか、突然身を乗り出して、そのまま額にキスされた。
驚き過ぎて言葉も出ないウチに、「元気が出るおまじないばい」と、また頭を撫でてくれた。


( 「お…、お、きに…?」 )
( 「どういたしまして」 )

くすくすと、珍しく年相応の笑顔を見せる千歳に何も言える訳がなくされるがままになり、結局一日のんびりと家で過ごした午後のお話。


おでこにちゅーな女の子が書きたかっただけです。そこ書いたら満足して終わりかたがわかんなくなった!
0930