ピンポーンと陽気なチャイム音が鳴る。部屋でそわそわしながら待っていた俺は、浪速のスピードスターの名に恥じない速さで玄関へと向かっていく。 今日は千歳とお家デートだ。 バタバタと走って勢いよく扉を開ける。 「おはよお、謙也くん」 (扉の向こうには、千歳と、千歳にそっくりな女の子がいました。) 扉を開けたままの姿勢で固まる。千歳に妹がいるとは聞いていたが、記憶が正しければ小学生だったはずだ。千歳の妹だから、こんなにも大人っぽいのだろうか。大人っぽいと言うか雰囲気と顔の作りが千歳に似ている。 しかしお家デートとは言え妹を連れてくるなんてあり得るのだろうか?…あり得ない。但し千歳の場合はあり得ないが通じない。 イチャイチャする予定だったが、諦めよう。 「…謙也くん…?」 千歳の妹が上目遣いで此方を見上げてくる。まじまじと千歳の妹の顔を見ていると、人受けのしそうな笑顔で微笑まれた。 …正直に言おう。見た目が千歳のままなだけあって凄く好みだ。おまけに俺が好きな巨乳と来ている。千歳が居なければ恋に落ちたかもしれないくらい好みだ。 俺のデレデレとした様子に気付いたのか、千歳がムッとした表情で手を引いてくる。 急いで表情を直して二人を家へと招き入れる。 「スピーディーちゃん、久しぶりやねぇ」 部屋に入って早々にイグアナの相手をし出す千歳に自然と笑みが浮かんでしまう。 妹ちゃんも興味津々でイグアナの相手をしている。女の子がイグアナと戯れる所を見るなど新鮮だ。 二人に声を掛けて冷蔵庫へお茶を取りに行く。 部屋に戻るとイグアナの相手は終わったのか二人が並んで座っていた。 改めて見てもそっくりだ。幾つか歳の差がある兄妹と言うより、一卵性の双子と言われた方がしっくり来る。本当に似ているのだ。 三人分のお茶を注いで向き合う。 「んで、千歳。そっちの子は妹?」 疑問に思っていたことを聞けば苦笑ぎみに「朝起きたら分裂しとっと」と言われた。 …分裂?とはどういう意味だろうか。訳がわからなすぎて、頭にはてなを浮かべていると今度は妹ちゃん?が話し出した。 「ウチ、元は千里と一つだったたい」 「…はぁ…?」 「ウチも謙也くんに会いたか!って思うたら分裂しとっと」 「朝起きたら隣で寝てたばい」 「へぇ、そうなんや…って!そんな事あるわけ無いっちゅー話や!」 「ばってん、嘘じゃなかと」 「そりゃー千歳が嘘吐くとは思うてへんけど…」 分裂など余りにも非科学過ぎだ。予想外の答えにどうしても口籠もってしまう。 うーんっと唸っていると、突然千歳(♀)が目の前に居た。分裂について考えすぎて移動してきたのに気付かなかった。 千歳(♀)と視線が合わさってニコッと笑われた。そして、そのままぎゅっと抱きつかれた。 「…っ!?!!ちちちちちとせぇ!?」 「…ねぇ謙也くん。ウチと気持ちよかこつしよ?」 首に腕を回し、小首をかしげながら上目遣いに胸を押し付けられた。 ピンクの艶々とした唇に、長く濃い睫毛。そして、触れる大きくて柔らかい胸。 心臓が激しく高鳴り、性的興奮を覚える。 年相応の笑顔を向けられてそのまま、キスをされた。 突然のことに反応出来ずにいると、舌を絡ませられたり歯列をなぞられた。快感に背筋が震える。 「…俺んこつ忘れたらいけんばい」 耳元で千歳の甘い声が聞こえる。その直後耳に濡れた感触がして思わず声が漏れそうになる。 千歳(♀)を無理矢理引き剥がし、未だ耳を舐めようとする千歳を止めて向き直る。 「っ、千歳やめや…!」 「んっ、は、謙也くんが俺んこつ相手しちょくれんのがいけんばい」 唾液で濡れる口元が情欲をそそるが、無理矢理押し込めて千歳の目を見て話す。 「せやかて、千歳…あーもーわかりづらいわ!ちぃが離してくれんのや!」 言葉ではどちらかわからなくなり、頭がこんがらがりそうなのでパッと思い浮かんだ名前を発する。 「!謙也くんがちぃば名前つけちょくれた!嬉しかぁ」 それが嬉しかったのか後ろからちぃに抱きつかれた。 「いたたたたた!く、首絞まっ…!」 「っ、謙也くんは俺んたい!」 勢いよく抱きつくものだから首が絞まって物凄く苦しい。そしてその様子を見ていた千歳が珍しく感情的になって前から抱きついてきた。 前が千歳で後ろがちぃ。前も後ろも好きなやつに挟まれてある意味幸せかもしれないが、取り敢えず息が出来ないので退いてほしい。遠くなる意識の中そう思いながら目をつぶった。 ( 酸欠で意識を失うなんて初めてです ) 起きたら千歳が一人に戻ってるなんてミラクルはなく俺を挟んで二人が寝てました。 ( …ええええー! ) ちとちと♀(逆でも可)も入れたかったけど反対方向に進んだ/^^\千歳サンドが書きたかっただけです。最後ふざけちゃった。しかも続きそうですよね、多分続かないです 0707 |