※軽くカニバリズムっぽい表現が有ります。 放課後の薄暗い教室に千歳はいた。机に伏せて眠っている。部活にも授業にも現れ無いでこんな使われていない教室に居るなど誰が思うだろうか。 音を立て無いよう椅子を引いて千歳の前の席に座る。起きるかと思ったが起きる気配は無く少し安心した。 千歳の髪に指を通す。癖はあるがふわふわとして触り心地が気持ち良い。指を通しながら千歳の顔を見つめる。 長い睫毛に、スッと通った鼻筋。男らしくがっしりとした体つきに、相応の長い手足。 改めてみれば、どうしてこんなにも男らしく奴に欲情したり、絶対に離したくないなど思うのだろうか。 千歳の事が好きだ。髪も身体も何もかも全てが好きだ。誰にも渡したくない。 だから、千歳の右目を貰ったアイツが憎い。 どんなに頑張っても右目を返して貰うことは出来ないから。 今は右目以外の全てが俺の物なのに、何で右目だけアイツのなんだ。何で、俺のじゃないんだ。何で、何で…! 「…ん、けんやくん…?」 「起こしてしもたか。すまんなあ」 「よかよ。起きんといけんかったしね」 「そんなら良かったわ」 弄っていた髪を引っ張り過ぎたのかうっすらと千歳が目を開けた。綺麗な瞳だ。視線が重なり合う。この全てを俺の物にしたい。 「なあ、千歳。その右目食べてもええ?」 「右目だけ橘の物なんて許さへん。全部俺にくれや」 視線を逸らさずに寝起きの千歳でも理解できる様簡潔に述べる。 「…ふふ、よかよ。ぜーんぶ謙也にあげると」 二、三度瞬きをしてから楽しそうに笑って欲しかった答えをくれる千歳。 嬉しくて微笑み返せば、首に腕を回されて触れるだけのキスをされた。 すぐに離れた千歳の瞳は、熱を孕んでいてとても美味しそうだ。 堪えきれず舌舐めずりをして、千歳の顎に添える。 ( い た だ き ま す 。 ) ネタ帳に、千歳の右目が食べたい謙也って書いてあったからそのまま書いてみました。 0704 |