いつまで経っても部活に来ない千歳を迎えに来てみれば、裏山の芝生に座り込んで一人のんびりとしていた。
足音に気付いたのか俺の方を向く千歳に手をあげて「はよ来いやー」と呼び掛ければ逆に手招きをされて呼ばれる。
さくさくと草を踏む音をさせながら座り込んでいる千歳に近付けば、何を思ったのか突然腕を引かれた。

唇に暖かいものがぶつかって千歳の男前な顔が目の前にあってああ、キスされたんだなと理解する。そのまま唇を舐められ促されるままに唇を開けば湿った舌が入ってきた。
ピチャピチャと晴れる空に似合わない濡れた音とくぐもった声が耳に届く。
時間にして数十秒程だろうが、俺自身には数分にも感じられた。

満足したのかゆっくりと離れていく唇に、千歳のしてやったりと言わんばかりの表情。何故だかそれが気に食わなくて離れたばかりの千歳の唇にぶつかる勢いで再度キスをする。
今度は千歳が驚く番だ。数秒前のしたり顔から一転して目を白黒させている。
引かれてた手を掴み離れようとする身体をその場に倒して、体重をかけて押さえつける。
多少身長差があっても、押さえつけてしまえばこっちのものだ。バタバタと暴れる足の間に身体を入れ唇を貪る。
舌を差し込もうとすれば、意地でも開かんと言わんばかりに固く閉じられている。どうしてやろうかと思考を巡らせてふと、大分抵抗が収まっているのに気付いた。拘束している左手はそのままに、右手を服の中に突っ込む。
入り込んだ手に驚いたのか一瞬隙が出来その隙に緩く開いた唇に舌を差し込み、逃げようとする舌を追い掛け無理矢理絡ませる。その後歯列をなぞってみたり、吸ってみたり好き勝手させてもらう。千歳の唇を満足いくまで堪能させてもらい名残惜しいが唇を離す。千歳の濡れた唇を見て今度は此方がしたり顔だ。

「っけん、や…!いきなりなんばしよっと…!」

涙目の千歳が吠える。その涙を舐めてやれば、ひゃあっと小さな悲鳴があがる。涙はしょっぱかった。

「なんや、先仕掛けて来たんは千歳やん」

にやりと自分でも意地が悪いと思う笑顔を浮かべる。そして差し込んだままの右手で臍周辺をやんわり触ればくすぐったいのか身を震わせた。

「ほんで、行き成りどないしたん?」

そっと首筋に顔を埋めて跡を付ける。

「っあ、ん、謙也の姿見えたけん悪戯しちょろうと…!」
「へー、そないなこと考えてたんや」

千歳の服をたくし上げ、綺麗に鍛えられた腹筋にも跡を付ける。
跡を付ける度にあがる嬌声に気持ちが高揚してきてそのまま胸も、と思ったがガサガサと音が聞こえ動きを止める。
音の方を向いて見ればにっこりとだが確実に怒っている白石がいた。

「自分等エエことしとんなあ」

情けなくも悲鳴をあげそうになり千歳に抱き付く。ここまで怒っている白石を見るのは久しぶりだ。千歳も白石の怒りように驚いているのか抱き付き返してくる。

「いつまで経っても戻って来いへんから迎えに来れば二人でイチャイチャしとって…。はよ部活戻りや」

はあっとため息を吐いて部活に戻ることを促す白石。そのまま白石は戻ろうとする。

(あれ、意外と怒ってへん…?)

起き上がって、乱れた服装を直してる千歳の横でその様なことを思っていれば思い出した様に振り向いた白石が笑顔で「戻ったらグランド走んのと、居残りで片付け頼んだで」と言って先に部活に戻ってしまった。
それだけでええの?と声に出しそうになったが、思い止まった。これ以上面倒を増やすのはごめんだ。
部活に戻ろうと立ち上げれば未だ座り込んでいる千歳に裾を引っ張られる。

「…謙也、あんね、部活終わったら泊まり来ん?さっきの続きしてほしいばい」

裾を引っ張ったまま眉を下げて上目遣いでこんな可愛い恋人のお願いを断れる奴がいたら教えてほしい。

「…千歳覚悟としときや。今日は寝かせへんからな」

少し腰を屈めて耳元で呟いてやれば、にこっと笑った後「誘ったのは俺たい、謙也になら何されてもよかよ」と返された。


( 夜 が 楽 し み で す )


部室に戻ったら頼まれた以上の仕事があったのは別の話。



途中からグダグダになったから無理矢理終わらせた。S謙也書きたかったけど無理だった。
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