ドレス翻して貴方に付いて行きましょう、永遠に
「えっ?僕のクラスは、"三十七人のお姫様とたった一人の王子様"です」
今は十月。
一年に一度の、盛大なイベント。星月学園に文化祭が近づいてきた。
浮かれきっている不知火が、青空にお前のクラスは何をやるんだ?と尋ねたところ、にこりと笑って意味不明のタイトルみたいなものを言われた。
「はぁ?さんじゅう…なんだって?」
「もう一度言って差し上げます。三十七人のお姫様とたった一人の王子様です」
どうしてそんな企画に決まったのか青空にも分からないらしい。
だが、クラスの中心的存在のグループがやりたいと言い出して決定してしまった。
「…ま、いいや。深く突っ込まねぇことにするわ。んで?王子様、誰なんだ?」
「…宮地くんです」
何でも、
その企画は今の時点であまり趣旨がないのだが、ひとまずの思い描く完成形というか理想形は宮地が好きなタイプを言って言って、一番そのタイプにあっていたクラスメイトとキスをするとか、または単なる女装喫茶で男とは思えない!を目指すのだという。
「宮地、か…」
確か、弓道部のおっかない副部長だろ、と思い出す不知火。
確かにあれがお姫様。なんてことになったら、それこそ鬼の副部長の本性を出して怒鳴りだしそうだ。
「お前は…じゃあ……」
「僕では王子様にはなれないことはなんとなく分かっていましたが…だからと言ってお姫様、って柄でもないですし」
困りました、と眉を下げて可愛らしく微笑んだ青空を見て、不知火はそんな姿、きっと一生に一度しか拝めないからな。と思い、いいじゃないか。と言って豪快に笑った。
「他人事だと思って―――…」
「ドレスはベビーピンクがいいな。淡いような儚い様なヤツ」
不知火はうっとりとした目線で青空を見た。
男にしては白過ぎる肌。
おそらく夜久よりも白い。
綺麗な顔立ち。
細い足腰、腕や手に、狭い肩幅。
「お前以上に似合う男はいないだろ…」
「そんな事は!…僕は、あんまり顔や性格に自信がないので着たり、接客はしたくないです」
…本当、弱いですよね
苦笑いを向けた青空は、どうしていいか分からない、といった顔をしていた。
「そんなお前を、俺は好きになったんだ。………絶対に見に行くよ」
そうやって言うと青空はやっと安心したようにして笑った。
その日、
不知火は夢を見た。
「会長、いえ……一樹さん、行きましょう」
そう言って青空は不知火の手を引いてドレスのすそを盛った。
それは想像していたよりも美しいもので、本当にベビーピンクの淡いドレス。
「かわいい……」
「一樹さん…僕はね、
ドレスを翻して付いて行きましょう 永遠に
ですから貴方はこの手を引いて