ひとつだけ秘密を教えてあげる。あたしは人形になりたかった。 感情はいらない。ただ黙ってあなたの話を聞くの。ひざで眠るなら頭をなでてあげる。 かわいそうだったね。もう泣かなくていいんだよ。 そんなことは言ってあげない。 きちんと壊してよ。痛みなんて感じなくなるくらいに。 やさしさは与えないで。終わりはしあわせなんだって教えて。 あとどれくらい泣いたら涙は枯れて、声を殺さずにすむの。 あとどれくらい生きれば人のあたたかさを忘れて、勇気がでるの。 ふれるものすべての温度が怖くて、いつのまにかなくせないものに気づく。臆病なあたしは、あとどれくらい醜くなれるのかな。 瞼を閉じて。いつか世界が終わる朝に、もう一度子守唄をうたって。 ← |