そんなことで泣くんじゃないよ、と頭を撫でた手を渾身の力で振り払った。
世の中は理不尽なことだらけだっていうのにこの上堪え切れず流した涙まで我慢しろって言うのか。なんて理不尽なんだ。あんたの涙は欠伸で分泌されるためだけにあるのか。そんなら涙腺なんてひきちぎっちゃえよ手伝ってやるよ。とマシンガントークさながらに罵倒すると、父親はあんぐりと口を開けてぼくを見ていた。この隙に、とぼくはますます大きな声でびえーと泣く。
ぼくほど可愛げのないこどももそういないだろうと自負している。ぼくはまだ十にも満たない。










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