第4話
知りたい
あなたのことを
第4話
通い慣れた神社へと足を運ぶ
「サクラー、今日は土産持ってきたで」
「え、お土産?」
「そう、桜餅」
「すっごく美味しそう!」
桜と同じ色のお餅に中にはあんこがたっぷりと入っていた。一口食べれば口の中に甘い味が広がる
「んー、おしひぃ」
桜餅を頬張り、幸せそうに次々口にするサクラ
俺も自然と頬が緩む、ってえええ!!確かに今のサクラはめっちゃかわええけど、いや、いつも可愛いんやけど…だァァァなんやねん俺!!
「侑士、独りでぶつぶつ言ってるとハゲるよ?」
「ちょ、それは高校生に言ったらあかんて。それより桜餅美味しかった?」
「うん、ありがとね。久しぶりに食べ物食べたよ」
「え?なら、いつもはどうしてん?」
「あたしは食べなくても生きれるから。でも、神社のお供えはたまにつまんだりするけどね」
ごちそうさま、と手を合わせ侑士に笑いかけた。侑士はばつが悪そうに笑う
ねえ、どうしてそんな寂しそうな顔するの?なんであたしのことそんなに気にしてくれるの?侑士が気にかける必要なんてないのに…
「…侑士は優しいね」
「え、今なんて」
「ううん、なんでもなーい」
届かなくていい、侑士は優しすぎるから
「ねえねえ、今日はなに話してくれるの?」
「せやなじゃあ…」
「なあ宍戸、あれ侑士じゃね?」
「みたいだな、最近さっさと帰る理由はここか」
部活後にストリートテニスしに行った帰りだった。宍戸と行くのはめずらしい、普段は侑士と行ってたから…
クソクソ、なんで俺が侑士の心配しなきゃなんないんだよ!!
とりあえず侑士に気付かれないように神社の中のある茂みに隠れる
「誰かと話してるみたいだなー」
「でも、隣だれもいないぜ」
「侑士、お友達来てる。あの茂みの中にふたり」
突然さっきまで話に聞きいっていたサクラが静かに口をひらいた
「うわ、全然気付かんかった。サクラはこんなんもできるんやな」
「まあね。ほら、早く行ったげなよ」
「おう、ほなまた明日な」
小さく手を振り、桜の木の中に姿を隠す
「こないとこで、なにしてるんや」
「げっ、侑士!!」
「げっ!じゃないわ。ほら、帰るで」
「忍足、お前さっき誰と話してたんだ?」
「ちょっと亮ちゃん、なに言ってん?」
「だって隣誰もいなかったぜ」
「…そんなん独り言や」
「ふーん、ならいいけど」
「マジ危ないから直せよ」
「ああ…」
岳人と宍戸にはサクラが見えへんのか…?
「さすがにばれちゃったよね…それでもまた来てくれるのかな……」
侑士……
呟いた名前は散る花びらと一緒に飛んでいった
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